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サーフィンを仕事にするということ(4)ウェットスーツメーカー社長・並川朗 氏

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977 views 2019-8-6 UPDATE

サーフィンを仕事にしている人には、どんな喜びや苦労があるのでしょうか。
サーフィンに限らず、「好きなこと」を仕事にしている人は世の中にそう多くありません。
趣味の範疇を越え「仕事」とすると、夢や綺麗事だけでは語れない、泥臭い話もあるでしょう。

「サーフィン=好きなことを仕事にしている人」にだけ見える、夢も苦味も含んだリアルな景色について探る連載企画。

今回は、ウェットスーツメーカー「Glare surfsuits(グレア サーフスーツ)」社長の並川 朗(なみかわ あきら)氏に、「サーフィンを仕事にするということ」について話を伺いました。

並川氏のサーフィンに関する仕事内容とは?

<2019SS・BIANCAシリーズの2mmジャケット・ロング&ショートパンツ>

ウェットスーツメーカー「Glare surfsuits」(以下・Glare)社長・並川氏の仕事は多岐にわたります。
商品開発、営業、経理全般、商品管理、発送はもちろん。
仕入れ・生産工程の一部まで、Glareのウェットスーツにかかわる業務全般を幅広く担っています。

生産工程では、生地のカッティングを担当。
ウェットスーツの生地は、分厚く伸縮性があります。
扱いの難しい生地を型紙に沿って正確にカッティングする姿は、まさに職人。

サーフィンを仕事にしている割合は?

並川氏の仕事を100%としたとき、そのうち「サーフィンを仕事にしている」割合を伺いました。
並川氏がサーフィンを仕事にしている割合は100%。

Glareブランドのウェットスーツ・ドライスーツは、サーフィン専用。
まさにサーフィンを仕事の100%にしていると言えます。

サーフィンを仕事に選んだ理由とは?

<Glareのウェットスーツが生産される工場内>

並川氏がGlareを独立させたのは2012年。
それまではダイビング用ウェットスーツメーカーに勤務していました。
Glareは、元々このダイビング用メーカーが約20年前に立ち上げたサーフスーツブランド。
当時、並川氏はサーフィン未経験でした。
しかしGlare担当となったことがきっかけでサーフィンを始め、その魅力にハマったといいます。

転機は、2011年3月に発生した東日本大震災。
津波や原発の被害は、マリンスポーツ業界にも大きな打撃を与えました。
震災の翌年、勤めていたダイビング用メーカーはサーフ業界からの撤退を決定。
同時に、Glareブランドも消失の危機に立たされました。

そのとき並川氏の頭によぎったのは、Glareの商品を愛してくれるお客さんたちの顔。
「Glareを続けていきたい。」
不安もありましたが、その強い想いが2012年の独立につながりました。
現在もGlareのウェットスーツは、東北~九州まで幅広いエリアで、40店舗以上のサーフショップで取り扱われています。

サーフィンを仕事にする上での「苦労」と「喜び」とは?

<HPではカラーシミュレーションができる>出典:Glare surfsuits

ウェットスーツメーカー社長として、サーフィンを仕事にするうえで感じる「苦労」や「喜び」について伺いました。

「苦労」を感じること

<ウェットスーツの型紙は、CADと熟練職人の手によって作られる>

並川氏が仕事で感じる苦労は、
・季節に売上や繁忙期が左右される
・インターネット通販との競合
です。

■ 季節に左右される
真夏や真冬は、ウェットスーツの売上が伸び悩みます。
夏は水着など軽装でサーフィンをする人が増えるため、需要が減ります。
それでは冬に売上が伸びるかと思いきや、冬はサーフィン人口が減るため需要は減るといいます。
逆に春・秋は注文が殺到し、納期に遅れが生じる程。
季節に左右されるのは、自然相手のスポーツを仕事にしている者ならではの苦労です。
しかし「そこがサーフィンが他のスポーツとは違う魅力」とも並川氏は言います。

■ インターネット通販との競合
インターネット通販との競合も、並川氏が感じる苦労です。
サーフ業界でも、インターネット通販の業績が伸びています。
ウェットスーツも、既製品から自分で採寸するオーダーまで、インターネットで手軽に買えるようになりました。
しかし、並川氏が案じるのは売上面だけではありません。
特にサーフィン初心者に、オーダーウェットスーツの真の魅力が伝わりづらい点に苦労を感じます。

サーフショップで細かく採寸され、身にぴったり合ったウェットスーツは、
・着たときのフィット感
・体の動かしやすさ
が抜群に良いものです。
本当に身に合った良質なウェットスーツは、サーフィン時の疲労すら軽減してくれます。
「オーダーウェットスーツの良さを多くの人に届けたい」というのが、並川氏の願いでもあります。

▼ウェットスーツのオーダーとは?採寸・価格など詳しくはこちら

ウェットスーツのオーダーとは?採寸・価格・仕上がり期間の目安

#サーフィンで使う道具

「喜び」を感じること

<ウェットスーツのパーツは、1枚1枚手作業で丁寧に貼り合わせられる>

並川氏が仕事で喜びを感じるのは、海でお客さんに
「ウェットスーツの調子いいよ」
と言われたとき。
ウェットスーツメーカー社長として、サーフィンに役立つものをつくること。
それが並川氏の何よりの喜びです。

この仕事をするうえで「大切に」していること、「努力」していること

<縫製作業も、すべて職人による手作業>

並川氏が仕事をするうえで「大切」にしていること、「努力」していることは、
・常に新しいものを追求する
・既存の知識や経験を大切にする
という2つの姿勢です。

新しいものを追求するという意味では、商品の改善や開発を常に心がけています。

商品の改善では、ウェットスーツの耐久性向上に特に力を入れています。
たとえばウェットスーツが修理に出されたとき。
修理箇所を見ながら、「なぜ壊れたのか」「どうすれば壊れないのか」といった点を社内で徹底的に話し合います。
そこで得られた改善点は、生産過程に即反映させます。
ウェットスーツの寿命は、一般的には約3年と言われます。
しかしGlareでは、4年は快適に着続けてもらえる耐久性を目指しています。
「あまり耐久性を追求すると、なかなか買い替えてもらないという苦しさもありますが…」
と苦笑いする並川社長。
そこはウェットスーツメーカーとして、痛し痒しのようです。

新商品の開発では、特にウェットスーツの運動性・フィット感にこだわりを持っています。
そのために新素材の開発や、型紙・生地のカッティング改善にも余念がありません。
また仙台から宮崎まで、様々な地域のテストライダーに新商品を試してもらいます。
素材・運動性・フィット感・耐久性などのフィードバックを参考に、どんな気候や波質にも対応する商品づくりを目指しています。
斬新で洗練されたカラーリングにも定評があり、アパレル業界に身を置くライダーとデザインの共同開発をしています。

またウェットスーツだけでなく、撥水素材のオリジナルTシャツ、ウェットスーツ生地を使用した鞄なども積極的に開発しています。

<オリジナル・ナノ撥水Tシャツ。好評のため一部カラー・サイズは既に完売>

<開発中の新商品、ウェットスーツ生地を使ったサコッシュ>

また経験・知識・人との縁など、昔からある確かなものも大切にしています。

たとえばダイビング用ウェットスーツメーカー時代から培ってきた、Glareの技術。
素材やカッティングは進化しても、ウェットスーツメーカーとして変わらないノウハウがあります。
そして昔も今もGlareを愛用し続けてくれている、お店やお客さんとのネットワーク。
昔からある技術や人との縁は、並川氏がとても大切にしているものです。

新しいものを追求しつつ、昔からある確かなものも大事にする。
並川氏の仕事からは、まさに「温故知新」の精神が伺えました。

まとめ


2012年、Glareへの熱い思いを胸に、思い切って独立をした並川氏。
もちろん不安もあったといいますが、強い意志のもと「好き」を仕事にした並川氏の姿は、私の目にはとても格好良く映りました。

最後に、並川氏にサーフィンの魅力について伺いました。
「無になってリフレッシュできる。日頃のストレスを発散できる。あとは、海での人との出会い。大人になると、新たな出会いってなかなかないですよね。あっても仕事絡みとか、出会いの範囲はかなり狭まる。海では、いろんな人と知り合える。その縁が新たなビジネスに繋がっていくこともある。そこがサーフィンの魅力。
サーフィンを愛し、サーフィンに役立つウェットスーツを作ることに喜びを感じる並川氏。
そんな並川氏が手がけるGlareのウェットスーツは、これからもサーファーに寄り添い、サーファーのライフスタイルと調和し続けることでしょう。

■ 取材協力:Glare surfsuits (株)アドバンスクリエイト

●住所:〒518-0731 三重県名張市夏秋574番地1
●電話:0595-48-5020
●公式HPはこちら
●取扱店舗はこちら

▼サーフィンを仕事にするということ

第1弾:プロサーファー兼サーフショップオーナーの仕事についてはこちら

サーフィンを仕事にするということ(1)プロサーファー兼サーフショップオーナー・一楽弘徳 氏

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第2弾:サーフィンカメラマンの仕事についてはこちら

サーフィンを仕事にするということ(2)カメラマン・吉永智尋 氏

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サーフィンを仕事にするという事(3) サーファー向けペンションオーナー・金沢直一 氏

#サーフィン

▼「好き」を仕事にしたい、ライフスタイルを変えたいと思っているなら

「好き」を仕事にするなら。転職エージェント「スポーツリンク」

#スノーボード
Writer

最近サーフィンを始めたばかりの新米ママサーファー。
スノボ歴は5年。

リアル初心者・女性・母である独自の視点を交えて、
横ノリスポーツの魅力や情報を記事にのせてお届けします。

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