サーフィンを仕事にしている人には、どんな喜びや苦労があるのでしょうか。
サーフィンに限らず、「好きなこと」を仕事にしている人は世の中にそう多くありません。
趣味の範疇を越え「仕事」とすると、夢や綺麗事だけでは語れない、泥臭い話もあるでしょう。
「サーフィン=好きなことを仕事にしている人」にだけ見える、夢も苦味も含んだリアルな景色について探る連載企画。
今回は、カメラマンの吉永智尋(よしながちひろ)氏に、「サーフィンを仕事にするということ」について話を伺いました。
▼第1弾:プロサーファー兼サーフショップオーナーの仕事についてはこちら
サーフィンを仕事にするということ(1)プロサーファー兼サーフショップオーナー・一楽弘徳 氏
#サーフィンカバー画像credit:maniaochi 2016
Contents
吉永氏のサーフィンに関する仕事内容とは?
出典:(左)『SURFIN’ LIFE』2015年2月号,p.46~47,当時(株)マリン企画、現ダイバー株式会社、(右)『Colors Magazine.com』2014年8月9日,p.125,(株)ネコ・パブリッシングカメラマンとして、その日屈指のポイントで波に乗るサーファー達のライディングを映像におさめている吉永氏。
吉永氏の撮影した作品は、おもにサーフメディア“colors magazine”に定期的に掲載されています。
またサーフィン雑誌の撮影や、サーフブランドメーカーの商品撮影などの仕事もおこなっています。
▼colors magazine掲載の吉永氏の撮影動画
出典:colorsmagazine/【台風8号】連日のTHE DAYSとなった台風マリアちゃん大フィーバー・セッション
出典:colorsmagazine/【台風22号】シリンダーバレル炸裂! 林健太、西優司による台風マンクット・セッション
サーフィンを仕事にしている割合は?
吉永氏の仕事を100%としたときに、そのうち「サーフィンを仕事にしている」割合を伺いました。
吉永氏がサーフィンを仕事にしている割合は60%。
ただ、吉永氏の気持ちの中では「サーフィンのカメラマンとしての仕事が100%」だといいます。
飲食店などでも仕事をしていますが、それはカメラマンとして仕事を続けていくための仕事。
カメラマンとしての仕事だけで生きていくことが、吉永氏の理想です。
サーフィンを仕事に選んだ理由とは?
吉永氏が写真を始めたのは、今から約6年前の25歳のとき。
最初は趣味で始め、専門学校に行ったり誰かに師事したわけではありません。
・サーフィンを撮るのが好き
・自身が生まれ育った町や自然を撮るのが好き
・サーフィンの写真を撮ってあげた人に喜んでもらえるのが嬉しい
といった気持ちから、写真を撮り続けていました。
ちょうどFacebookやInstagramが流行り始めた頃。
吉永氏も、SNSに自分の撮った映像作品を定期的にアップしていました。
すると方々から、
「サーフィンの写真を提供してもらえないか」
「商品写真を撮ってもらえないか」
といった仕事の声がかかるように。
サーフィンが好きで、
地元四国のプロサーファーなどを撮り続け、
撮ったものを自ら発信しているうちに、
人や仕事の縁を引き寄せるように、カメラマンとしての活動が仕事になっていきました。
サーフィンを仕事にする上での「苦労」と「喜び」とは?
カメラマンとして、「サーフィン」を仕事にするうえで感じる「苦労」や「喜び」について伺いました。
「苦労」を感じること
■肉体的にハード
カメラマンとしての仕事は、肉体的にハードです。
特にサーフィンのハイシーズンである夏は、
夜明けから日没まで、海でサーフィン撮影
→ 日没から深夜まで、飲食店で仕事
→ 深夜~明け方まで、撮影データの編集作業
→ 夜が明けるとまた、海でサーフィン撮影~
とまさに寝る間もない日々が続きます。
「肉体的な疲労に大変さを感じることはある。でも好きなことをしているから続けられる」
と吉永氏はいいます。
■SNSの普及と著作権
SNSの普及で、画像や動画が手軽に共有できるようになった時代。
その中で著作権が軽視されているような場面に遭遇することもあるといいます。
カメラマンとして映像を仕事にするとき、
・撮影にベストな日時や場所を見極め
・自分の足で撮影場所に赴き
・多くの時間と労力をかけて
サーファーにとっても、撮る自分にとっても、納得のいく映像をつくりあげます。
しかしそうした作品が無断で使用されているのを見ると、悲しくなるといいます。
「自分の写真の著作権がどうとか、あまり細かい事は言いたくないのが本音。
でも『仕事にする』となると著作権を大事にしないと、カメラマンとして成り立たなくなる。」
SNSの普及を通して人や仕事の縁に恵まれることもある一方、
SNSの手軽さが、映像を仕事にする者としての苦労に感じられることもあるそうです。
「喜び」を感じること
「誰も撮ったことのない一瞬を、サーファーと一緒に記録に残せたときの喜びは計り知れないものがある」と吉永氏は言います。
“同じ波は二度とこない”
毎日海に入っているプロサーファーも、長年海に入り海を知り尽くすレジェンドも、皆口を揃えて同じことを言います。
その一度しかない波に、サーファーの最高のライディングが決まった瞬間をカメラで捉えたとき、その場に立ち会えたことの喜びを噛み締めるといいます。
この仕事をするうえで「大切」にしていること、「努力」していること
■「大切」にしていること
吉永氏がカメラマンとして仕事をするうえで「大切」にしていることは、最高の映像を残すための撮影環境を見極めることです。
良い波がたつポイントや日時を見極め、時にはプロサーファーなどのライダー達に声をかけ、撮影場所に赴きます。
乗り手(サーファー)と撮り手の
「すごいライディングをメイクしたい、記録に残したい」
という気持ちが一致するのがベスト、と考える吉永氏。
そのぶん「波予想を外すわけにはいかない」というプレッシャーを感じることもあります。
■「努力」していること
そのために「努力」していることは、多くのポイントの地形・天気図・台風など、波に関する情報収集を常に心がけることです。
サーフィンのカメラマンとして良い映像を残すためには、いい波が立つ日時やポイントを見極めることが重要です。
吉永氏が目指すのは、
「四国の波はあいつに聞けば間違いない」
と言われるぐらいに、波やポイントに精通することだといいます。
まとめ
同じ波は二度とこない。
その波にサーファーがメイクする究極の一瞬を、カメラマンとして記録に残す仕事をしている吉永氏。
一期一会の瞬間を相手にする仕事は、プレッシャーを感じることもあるけれど、その喜びもまた計り知れないといいます。
最後に、吉永氏が思う「サーフィンの魅力」について伺いました。
「実は子供の頃に海に落ちて危ない思いをしたことがあって、高校生でサーフィンを始めるまでは海にトラウマがあった。だから、小中学校では水泳の授業を一度も受けたことがなかった。サーフィンが好きな理由はわからないし、言葉にできない。でも今となれば、サーフィンも海も人生に欠かせないぐらい好き。でないと、毎日サーフィン撮らないよね。」
自身が撮るのも乗るのも、とにかくサーフィンが好きな気持ちが
『理由はわからない。言葉にできない。』
という言葉そのものから伝わってくるようでした。
サーフィンを、波を、自然を愛する若き写心家・吉永智尋氏が撮る至極の映像から、これからも目が離せません。
■取材協力:写心家・吉永智尋(Chihiro Yoshinaga)
Instagram:@chihiro_yoshinaga
“RAIN CLOUD SUN” Instaglam:@rain_cloud_sun
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#スノーボードサーフィン歴2年、万年初心者ママサーファー。
スノボ歴は5年。
リアル初心者・女性・2児の母である独自の視点を交えて、横ノリスポーツの魅力や情報を記事にのせてお届けします。
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