スノーボードのコラム

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もしも!の時に役立つ、スノーボードのケガについてのあれこれ

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42,978 views 2018-10-23 UPDATE

両足をバインディングで固定されているスノーボードは、衝撃で足と板が分離するスキーとは異なり、転倒した時に手を突いてしまったり、腰や首を打つという状況になりがちです。
また、パークを中心に楽しむフリースタイラーたちは、ジャンプやアイテムでケガをすることも少なくないでしょう。

本コラムでスノーボードで起こりやすいケガについて知っておき、できるだけケガを防ぎ、もしもケガをしてしまった場合も適切に行動ができるよう、いざという時の対処法について説明していきたいと思います。

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1,スノーボードで多いケガ

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スノーボードのケガは、頭、肩、手首、腰など、下半身よりも上半身に多いのが特徴です。

もちろん足首をヒネる、ヒザをぶつけるなど、下半身のケガもありますが、全般的には上半身のケガが多くを占めます。
これは、スノーボードは両足が固定されているためで、同じ雪上をフィールドとするスキーとは大きく異なります。

具体的には、頭部外傷・首のねんざ・脊椎や尾骨の骨折・肩や肘の脱臼・手関節部の骨折・ヒザの靭帯損傷などが多いです。
一般スノーボーダーのレベルが上がるにつれ、ケガの種類も変わってきました。
例えば、初心者ボーダーが多かった頃には、転んで頭を打つという事故が頻繁にありました。
緩斜面でも打ち所が悪いと死亡するケースもなんかもあり、「スノーボードは危険だ」なんてレッテルを貼られていた時代も……。

しかし、ヘルメットを着用するなど安全への意識が高まったことや、一般層のレベルが上がったことにより、そのような事故はかなり減り、偏見も減ったことでしょう。
現在は中級者以上のレベルの人が増え、パークでのケガが増加傾向にあります。

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2,もし、ケガをしてしまったら……

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では、もしもケガをしてしまったら……? 先程挙げた、スノーボードで多い部位の外傷を具体的に解説していきましょう。
特に頭や腰を打強く打った際には、重大なケガとなる恐れがあるので、一刻も早い対応が必要です。
また、ちょっとしたケガだと思い、自分のさじ加減で受診を怠りがちになりますが、将来的により長く快適にスノーボードを楽しみたければ、できるだけ自分の身体をしっかりケアし、労ることを忘れないでください。

頭部

頭を強く打って意識がない場合は、脳内出血している可能性があります。
できるだけ早く脳神経外科のある病院へ運びましょう。
その場では意識があっても、時間が経ってから突然症状が出ることもあるため、グループで誰かが頭を打ったら、当人を一人にしないことが大切です。

また、後方へ転倒した場合、頭部打撲とセットで起きやすいのが首(頚椎)のケガです。
当日はなんとなく痛い程度で、翌日になってから痛みが増すということも多く、痛みが強ければレントゲン検査、また、上肢のしびれや吐き気、頭痛を伴う場合にはMRI検査も必要となるので気を抜けません。

頭を打つ危険性は、キッカーやハーフパイプだけでなく、ハイスピードでのフリーライディング中にも起こりうるので、常にヘルメットや専用プロテクターを身に着けることが一番です。

背骨・腰(脊椎)

フリーライディング中に転んで腰や背中を打った程度ではあまり心配いりませんが、ある程度の高さから落ちた場合には、骨折や下半身麻痺など重傷となるケースがあります。
脊椎を損傷してしまった可能性がある場合には、一刻も早く救急車で病院へ運ぶこと!

最悪の場合は車椅子生活余儀なくされる場合もあるので、くれぐれも自分のレベルをわきまえて、パークでのジャンプは段階を踏んでステップアップしていくよう、強く心に留めておいてください。

上肢(肩・ひじ・手など)

肩関節やひじ関節の脱臼は、スノーボーダーにとってポピュラーなケガと言えます。スタンスがレギュラーならば左側、グーフィーならば右側と、進行方向側をケガすることがほとんどです。
脱臼はヒドい場合には骨折を伴うこともあります。
これらのケガは直後から激しい痛みや腫れ、患部を動かせないといった感じることのできる症状があれば、誰でも整形外科へ直行しますよね。

しかし、少し痛みはあるけど動かせたりする場合は、勝手な判断で放っておきがちでは?
自分では大したことないと思っていても、厄介なケガをしていることもあるので、少しでも痛みや違和感を感じたら診察を受けるようにしてください。

下肢(股関節・ひざ関節・足関節など)

初心者に多いケガとして、頭を打つことを挙げましたが、尻もちをついてケガするということも少なくありません。

ひどければ尾骨骨折ということもあります。
尾骨のケガは、ジャンプでの失敗や、リフト待ちでも起こ得るので、硬いバーンを滑っている時は特に注意したいものです。

ひざ関節

スキーヤーに比べると少ないですが、ひざ関節の故障もあります。
膝蓋骨脱臼や、靭帯・半月板の損傷などです。

ひざのケガはまったく歩けないケースから、日常生活でちょっと痛む程度までさまざまですが、ひざの故障は一生ひびくので、たいした症状でなくてもきちんと整形外科でレントゲンやMRIなどの検査を受けるようにしましょう。

足首関節

ハードブーツではあまり考えられませんが、ソフトブーツである程度足首の自由がきくスノーボードでは、足首関節のケガも起こります。
ねん挫は大まかに内ひねりと外ひねりの2種類がありますが、一般的には内反ねん挫が多く、かかった外力が強いと骨折を起こすケースもあります。

重症度により程度が3つに分類されますが、どの靭帯をどの程度損傷したかは検査と診断が必要になるので、なるべく早めに専門医の診察を受け、完治させることが大切です。
捻挫クセが付いてしまうこともあるので、多少動かせるからといって無理は禁物です。

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3,覚えておきたい緊急時の対処法

緊急

あまり考えたくはないでしょうが、いざ誰かがゲレンデケガをした場合にどのように対処すべきか、基本的な動きをここで頭にインプットしておきましょう。
自分でなくとも、一緒に滑りに行った友人がケガをしてしまうことも起こり得るし、まったく知らない人でも目の前でケガをされたら、何かしてあげたいですよね。

①ケガ人と自分の安全を確保する

まず素早く行いたいのが、ケガした人をコースの端へ移動させること。そしてボードを取り外して、流れないようにコース脇へ立てることです。
これは、2次被害を避けるためにとても重要なこと

もしケガをした場所が、コースのど真ん中で、気づかずに後ろから人が突っ込んできたら……?
特に見通しの悪いコースや、キッカーのランディングでスタート地点から見えない位置などの場合、すぐに動かすのが難しければ、ケガ人がいることをなるべく周りに知らせるようにしましょう。

たとえ見通しのいいコースでケガ人がいることが確認できても、うまくコントロールができずにぶつかってしまう初心者もいます。
様々なケースを想定して、とにかくケガ人と自分の安全確保を第一に行いましょう。

②ケガ人を観察し、パトロールへ

大量に出血していたり、意識がない場合はただちに周囲に助けを求め、気道確保や人工呼吸、止血などの応急処置を行うと同時にパトロールへの通報を急ぎます。
ほかにも仲間がいる場合はケガ人に付き添う人とパトロールを呼びに行く人に別れ、もし自分しかいない場合には周囲の人にお願いして、決してケガ人をひとりにしないようにすること。

意識がある場合には、まずは落ち着かせて話を聞きましょう。
頭を打っている場合には、名前や誰と滑りにきたのか、朝食べたものなどを聞いて、記憶がしっかりしているかの確認もしておきましょう

パトロールへ行く際は慌てず落ち着いて、いつ・どこで・だれが・どうした、を整理して正確に伝えます。
自力で運べない場合は担架などで迎えにきてくれるので、ケガ人のボードなど道具を持って、一緒にパトロール小屋まで同行します。
そこまで辿り着けば、あとはパトロールに従えばOKです。

③手足の外傷の応急処置

身体に傷害を負った際に早急に施すべき応急処置における”RICEの法則”というのがあるので、覚えておくといいでしょう。
これは医学的な根拠から、ケガした際にできるだけ患部の炎症や出血を抑えるための方法で、病院や医療機関で診察を受けるまでは、できるだけこのRICEに従った措置を行うことが推奨されています。
RICEとは、Rest・Icing・Compression・Elevationの頭文字をとったもので、

RICE
credit : kknavi.lion.co.jp

Rest(安静)

ケガした所を動かさない。
これは、出血などの傷害を負った際に、患部周辺の関節や筋肉が運動することによって血行が促進され、脈拍の上昇とともに出血がひどくなる危険性があるためです。

Icing(冷却)

冷やす。
通常は氷やアイスノンなどで行いますが、ゲレンデ内には雪がたくさんあるので簡単にできるはず!
傷害を負った部位は細胞レベルで傷つき、そのままでは炎症が広がる状態に置かれやすいので、それを防止するためにアイシングを行います。
不衛生な水や氷では感染の可能性があるので、できるだけきれいな雪を利用するようにしましょう。
なるべく受傷直後に15分から20分の間アイシングするのが効果的とされています。

Compression(圧迫)

適度に圧迫する。
出血などの外傷で損傷した患部の血管は、出血が止まらない可能性もあるので、患部周辺または上流部分の動脈を圧迫して一時的に血流量を落とします。
伸縮性のある包帯などがあればいいですが、ない場合はタオルや布でOKなので、患部より少し広めに巻くようにします。
ここであまりキツくまきすぎないように気をつけましょう。圧迫することで、腫れと内出血を抑え、痛みも軽減することがきます。

Elevation(拳上)

心臓より高く挙げておく。
なるべく患部を心臓よりも高い位置に保つことで、内出血や腫れを最低限に抑え、重力による出血量減少の効果を期待できます。
損傷したのが足などの場合は、椅子や台などの安定したものを利用しますが、ボードを安定した状態で置いた上に足をのせてもいいでしょう。
挙上した状態で安静を維持しておくことが大切なので、できるだけ無理のない体勢をつくることが重要です。

これらRICEの法則は、スノーボード以外でも役立つ知識ですので、ぜひ覚えておいてください。いかに素早く処置を遂行するかで、その後の回復も変わってきます。しかし、あくまでも応急処置なので、医療機関の受診も怠らないようにしてください。

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いかがでしたか?
滑りに行く前に、ケガをすることは考えたくもないでしょうが、いざという場面で少しでも役立ててもらえたらいいなと思います。
どんなに万全をつくしても、スノーボードにケガがつきものなのは、事実。

逆に、まったくリスクがなかったら面白くないのかもしれませんね。とはいえ、なるべく多くの人がケガをせずにシーズンを過ごせることを、願っています……!

Writer
Makiko Kishino
Makiko Kishino ライター・エディター

白馬でスノーボードショップを営む、元スノーボード誌編集者のフリーライター。
田舎ライフをマイペースに満喫しながら、とことん遊びを追求しています。

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