スノーボードのコラム

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競技性の高いアルペンスノーボードの歴史からオススメメーカーなどのご紹介

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93,125 views 2018-1-20 UPDATE

スノーボードと言えば、オリンピックでの日本人選手の活躍もあり、スロープスタイルハーフパイプ競技が一般的にもかなりメジャーとなりました。
ゲレンデでのスノーボード人口は今やスキーを超え、冬になると多くの人がスノーボードを楽しんでいます。
その大半はフリースタイルですが、実はスノーボードにはアルペンボードというカテゴリーもあります。
2014年ソチオリンピックの女子ジャイアントスラロームで日本の竹内智香が銀メダルを獲得したことで、メディアに取り上げられたのを覚えている人も多いことでしょう。

スロープスタイルやハーフパイプに比べるとやや見た目の派手に欠け、多少マイノリティーではありますが、根強いファンを持つアルペンボードってどんなモノなのか、なかなか知る機会も少ないと思うので、本コラムで紹介していきます!

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アルペン競技の歴史

アルペン競技

credit :Lizard / Shutterstock.com

そもそもスノーボード自体、歴史が浅いスポーツ(でありカルチャー)であることはご存知だと思いますが、誕生したのは1960代のこと。
その後、雪上でサーフィンができるとして人気に火がつき、1988年年にワールドカップ、1998年にオリンピック種目として採用されたことで、広く市民権を得ることとなりました。

アルペン競技の最初の国際大会は1989年にイタリアで行われ、その後1991年にワールドカップ開催、1998年には長野オリンピックでハーフパイプとともにパラレル大回転(ジャイアントスラローム)が正式種目となり、2014年のソチオリン ピックではパラレル回転(スラローム)も正式種目となっています。
そして2006年トリノオリンピックから正式種目となったスノーボードクロスも、アルペンボードで出場することができる競技です。

冬季オリンピック
credit :Olha Insight / Shutterstock.com

つまり、実はアルペンもフリースタイルも、表舞台に登場したのはほぼ同じタイミングというわけです。
日本でのアルペン競技人口はほんのわずかですが、ヨーロッパではアルペンボードに乗る人の割合が高く競技も盛んで、決してマイナースポーツという位置づけではありません。

スキーのアルペンレースは同じコースを選手がひとりずつ滑走してタイムを競うのに対し、スノーボードのアルペンレースは選手2人が並行して設定されたコースを滑るのでスピード感を楽しめるのが魅力です。
また、並走することによって嫌でも相手を意識することになるので心理戦も勃発し、どれだけ冷静にいつも通りの滑りができるのかも勝負を決定付ける大切な要素になります。

アルペン競技の大まかなルール

もちろん、公平性を保つために2本のコースを各選手が滑ります。
このような方式を取るのには理由があり、同じようにコースが作られていたとしても、選手が滑っているうちにそれぞれコースの掘れ方が変化していくため時間が経つとともに全く異なるコースへと変貌します。

1本目では両選手同時にスタートしタイムを計測。
そこから2本目は1本目についたタイム差に基づいて、スタートゲートがそのタイム差を考慮して開き、スタートするので2本目でどちらが先にゴールするかで勝敗が決まるため、合計タイムを計算して算出するよりも勝負が明確です。

アルペンのジャンル

スノーボードのアルペン競技の中でも種類が分かれているということを知っていますでしょうか
スラロームとジャイアントスラローム(パラレル回転・パラレル大回転と表現されることもある)の2つがあり、それぞれ簡単に説明していきましょう。

スラローム

スラロームは旗門の間隔が狭く、だいたい14m前後で旗が立てられています。
ジャイアントスラロームに対して、リズミカルに正確に減速することなくターンすることが要求され、ターンが多い分ミスをしないで滑ることが勝利のカギです。

ジャイアントスラローム

スラロームに対してジャイアントスラロームは24m前後に旗が立てられいるので、スピードを保ちながらより大きなターンをしなければならず、それだけ体に負荷がかかります(一般的にGと呼ばれるもの)。
ですので、よりダイナミックにターンをして先の旗の位置を確認しながらどれだけ攻めた滑りをできるかが勝利のカギを握ります。

アルペンボードの特徴と選び方

アルペンボード

ひと言にアルペンボードと言っても、ゲレンデクルージングモデル・フリーカービングモデル・デモンストレーションモデル・レーシングモデルなど、様々な種類があります。
どれも共通してターン性能や高速性能を重視した設計になっているので、滑走安定性が高くて正確で高速なターンを得意とします。

フリースタイルボードとの比較

フリースタイルボードとはビジュアル的にも大きく異なり、ウエスト幅が狭くてテールの端が真っ直ぐに切られているのが特徴です。

フリースタイルボードではツインシェイプが多いのに対し、トップとテールの形状が異なるのはターン後半の抜けを良くするためで、レスポンスもクイックになります。

また独特のノーズ形状を持つハンマーヘッドは、ボード全長に対して有効エッジが長く、抜群のホールド性を発揮します。全般的にフレックスも硬く、フリースタイルボードとは比べ物にならない位スピードが出ますが、ひたすら速く滑ることを目的に開発されているので、パウダーを滑ったりパークに入ったりすることはできません。

アルペンボードの選び方

アルペンボードの使用者は一般的にはレース競技者かインストラクターが多いですが、もっと速く滑りたい、きれいにカービングをしたいというならば、一度アルペンボードに乗ってみるのもいいかもしれません。
アルペンとフリースタイルでは、ギアに大きな違いがありますが、滑り方はほとんど同じなのです。

ギアの特性上誰でも簡単にカービングができるので、アルペンボードでカービングの感覚をしっかり覚えれば、フリースタイルボードに乗ってもズレのないキレたターンをできるようになります。
大きく分けて長さは160センチ以下のSL(スラローム)ボードと、160センチ以上のGS(ジャイアントスラローム)用のボードに分けられます。
レースでの旗門の間隔や振り幅が違うためで、よりクイックなターンが要求されるSLのほうが短めのボードを使用します。
全長の長いGSボードのほうがよりスピードが出せますが、サイドカーブが緩いので中高速域での安定性が高くなる一方、低速時の操作性は難しくなります。

アルペンボード初心者は、まずはSL用を選んだほうがいいでしょう。

アルペン用ブーツとバインディング

アルペンブーツ

アルペンとフリースタイルのギアの一番の違いはブーツです。アルペンではソフトブーツでなくハードシェルを用いたハードブーツを使用します。
もちろんバインディングもまったくの別物です。
スキーをしたことがなく、ソフトブーツに慣れている人にとってハードブーツは動きが制限され、最初は快適とはかけ離れているように感じると思いますが、ハイスピードのなかでビタビタにカービングをするんですから、それだけ足元にもハードさが必要とされるのです。
上級者になればなるほどハードなブーツを好みますが、まずはハードブーツの中でもフレックスが柔らかめなモデルもあるので、最初は硬すぎないものを選んだほうがストレスも少なく扱いやすいでしょう。

バインディングの種類

バインディングにはステップインとベイル式があります。

ステップインは剛性が高くてダイレクトに操作でき、リカバリーの早さが特徴です。
ベイル式はルーズさがありますが、リカバリーが遅くなるので操作性においては若干劣ります。

フィッティングもステップインのほうが断然ラクなので、ステップインを選ぶ人が多いようです。

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アルペンボードのおすすめブランド

アルペンボードを扱っているおすすめのメーカーを紹介します。フリースタイルのブランドと比べるとブランド数は少なく、海外メーカーのモデルは高価なものが多くなっています。
国産メーカーは基本的に日本人がテストし、日本人が日本人のために製造しているので、日本人が乗りやすい板が揃っていると言えるでしょう。

OGASAKA

ogasaka

フリースタイルでも人気の高いOGASAKAは、スノーボードだけでなくスキーも製造する日本のメーカーで、国内の自社工場で生産しています。
アルペンボードのラインナップもとても豊富で、デモンストレーターをはじめ、インストラクターやレーサーにも多く選ばれています。相沢盛夫や会田次郎もOGASAKAのライダーです。

web : www.ogasaka-snowboard.com

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BC-STREAM

bc-stream

BC-STREAMは、アルペンボードに力を入れている日本のスノーボードメーカーです。
個々の製造スタッフが数々の工程を担当する体制で製造しているため、大量生産はできませんが、開発者・製造スタッフとライダーが精度の高いプロダクトをスピーディに作り上げています。
数々のテストを繰り返してリリースされるボードには独自の技術が集約され、コンペティターも満足させるクオリティを誇ります。

web : www.bc-stream.com

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MOSS SNOWBOARDS

moss_logo


国産スノーボードのパイオニアであるMOSSは40年以上の歴史を持つ老舗ブランドです。
アルペンボードには、レースボードのACCELやカービング性能が抜群のKATANA、中級者向けSYNCHROなどがラインナップします。
長年のボード作りの中で培ってきたデータや無限大の素材の組み合わせ、そしてライダーたちによるテストライドなど試行錯誤の中で設計され、一本一本職人の手によって丹精に生み出されています。

web : pioneermoss.com/mosssnowboards

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YONEX

yonex

ウッドコアの替わりにカーボン素材を使用するスノーボードメーカーとして有名なYONEXは、オリジナル技術を搭載するアルペンボードを生み出し続けます。
その群を抜く軽さは、アルペン界でも定評です。
最新テクノロジーとしては、振動減衰性に優れた独自のマグネシウム複合ボードのTHE Cシリーズを発表し、高速時でもバタつかず、抜群の軽さと安定性を併せ持つボードを誕生させています。

web : www.yonex.co.jp

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GRAY SNOWBOARDS

graysnowboards

真に乗りやすいスノーボードを目指して、1998年に創立したGRAY。 自社工場こそありませんが、独自の設計力やデザイン力で高性能スノーボードブランドとしての地位を築いています。
オリジナル設計で計算され尽くした3次元カーブの組み合わせによる機能的で美しいシェイプだけではなく、組み込む素材の一つ一つを吟味選定し、 1/100ミリ単位のコアプロファイルまでもすべて独自で開発されています。

web : www.graysnowboards.co.jp

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その他、インポートブランドではF2やVOLKL、K2などが有名です。
また、バインディングやブーツもフリースタイルブランドに比べて選択肢が少なく、バインディングはACT GEAR、F2、ブーツはDEELUXEやUPZが主なところです。


なかなかゲレンデでもショップでも目にする機会の少ないアルペンボードの紹介でしたが、一度乗ったらそのスピード感とキレのよさにハマる人も多いのです。
ややマニアックでディープな世界ではありますが、フリースタイルだけではないスノーボードの新たな一面を知れば、より深くスノーボードを楽しめるかもしれませんよ。
これを機にアルペンボードに興味を持ってもらえたなら、ゲレンデで一式レンタルという手段もあるので、ぜひ一度乗ってみてください。
なにごともやってみなきゃ分らないものですから!

TOP photo credit :sergey23 / Shutterstock.com

Writer
Makiko Kishino
Makiko Kishino ライター・エディター

白馬でスノーボードショップを営む、元スノーボード誌編集者のフリーライター。
田舎ライフをマイペースに満喫しながら、とことん遊びを追求しています。

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