snowboard
OGASAKA(オガサカ)
FT/CA163 HAWK
エフティシーエーイロクサン ホーク
2018-2019
スノーボード
国内の老舗スノーボードブランド"OGASAKA"にインタビューをしに行ってきた。
日本の雪板の発展と共に歩んできたOGASAKA。
国内にとどまらず、海外からの評価も高いOGASAKAがどのような遍歴を経て今の地位まで上り詰めたのかをインタビューの中から感じ取って頂けたら幸いだ。
Contents
R/ForA MAGAZINE(以下 : R) :OGASAKAブランドの歴史を教えてください。
OGASAKA(以下 : O):日本にスキーが伝わったのは明治44年(1911年)と言われています。
その翌年の明治45年(1912年)からOGASAKAはスキー板の製造を開始しています。
長野県の飯山というところで中学校の校長先生が実際にスキーを見て、「子供たちの冬の体育の授業に使えそうだ」と思い、当時家具職人だった先々代に作らせたのが当社のスキー製造の始まりです。
スキーに関しては日本のスキーの歴史と一緒に歩んでいます。
世界的に見ても100年以上スキーを作り続けているブランドは稀だと思います。
R:すごいですね、創業100年を超えているということですよね。
O:そうですね、会社の歴史的には。
スノーボードは1987年から発売開始です。
試作品は1985年から作り始めていました。
日本にスノーボードが入って間もない頃にスキーの技術者が"これは共通性もあるし流行りそう"ということで始めたんです。
最初の数年くらいは開発のみで販売は数十本くらい。ごく内輪だけの販売でした。
一時スノーボードが売れない厳しい状況もありましたが、これは絶対将来性があるから止めないでおこうと先代の社長に掛け合って存続が決まりました。
rider:Morio Aizawa
R:OGASAKA SNOWBOARDSの起源を知りたいのですが、もともとはテクニカル系から派生していったのですか?
O:いえ、そんなことないですよ。
スノーボードの一番最初の流行り始めは世界的にもアルパイン(アルペン)からなんですよ。
ワールドカップの一番最初の種目はアルパインレースだったんです。
で、そのうちにスケートブームが来てハーフパイプという遊びが出来て、ハーフパイプが種目になり、日本のプロ達はアルパインとハーフパイプの二種目両方やっていたんですよ。
R:一人のライダーが両種目をやっていたんですか?
O:そうです。今でも現役でやっていますけど、相沢盛夫とか。
バリバリのスケーターとかサーファーが掛け持ちでアルパインをやっていたんですよ。
R:そういう時代だったんですね。
O:そうなんですよ。流行り始めの頃はですね。
R:今でこそハーフパイプならハーフパイプしかやらないとか・・・
O:そうそう、ここ何年くらいからか高度な技を極めるようになってきて専門になっちゃったんですね。
R:なるほど。
O:スノーボードって、滑るとなるとスキーの要素があり、遊ぶとなるとスケートの要素があり、
流れ的にはサーフィンもあり、あとウィンドサーフィンもあったんですよ。
この4つの流派が渾然一体として発展してきたんです。
だから、異常に特殊な育ち方していると思うんですよ。
ウィンドサーフィン愛好者がスノーボードしたり、サーファーがスノーボード、その逆もありますし、
スキーから入ってスノーボードする人もいるし、色んな流れがありますよね。
R:スケートボードとサーフィンとスノーボードっていわゆる横乗りという括りになることはよくあると思いますが、ウィンドサーフィンも元々入っていたんですね。
O:ええそうです。
例えば今から24、5年前にお店に営業行くとなると、スケートショップとサーフィンショップとウィンドサーフィンショップへ営業に行っていました。
でも今はもうウィンドサーフィンショップはほとんどなくなってしまいましたね。
R:そうですよね、今はあまり見ないですよね。
どこで買えるんだっていうくらい。
O:当時はスノーボードとウィンドサーフィンのお店が並んでいたんですよ。
でも今はほとんどないので、ウィンドサーフィンからのスノーボードという流れはほぼないですね。
しかも値段も上がってきて一式揃えるのに何十万円もかかりますからね。
R:それは高いですね・・・
O:しかも風とか波によって何種類も用意しなくてはいけないんです。
だからよほどのお金持ちか、全てを投げ打ってやらないと出来なくなっちゃったんです。
R:ウィンドサーフィンの流派なんてあったんですね。
それでウィンドサーフィンからスノーボードへって人がいたんですね。
O:今はもう影を潜めてしまいましたが、ただ業界に古くからいる人はウィンドサーフィン出身の人はいますよ。
R:スケートボードやサーフィンは分かりますけど、ウィンドサーフィンは初耳でした。
rider:Morio Aizawa
O:テクニカルはそれより5~6年遅れているんですよね。
だから競技っていうとアルパインかパイプしかなくって、ある時にテクニカルをやろうという動きがありまして、
そこの年からうちの選手達がちょうどいい年になってきて、あれならまだ活躍できそうだなと。
で、テクニカルの方に活動の場を移した人達がいて、僕達はそれを追いかけていったという感じで、意図的にそれを仕掛けたわけではないんです。
R:なるほど。
ライダーの方が活動の場を移していって、それにブランドが付いていったというような感じですかね。
O:そうなんですよ。
長い歴史で見ると、スノーボードクロスが遅れてきたんですが、あの時は物凄いエントリー数があったんですよ。
スノーボーダーってちょっと目立てそうだなっていうところに行く傾向がありますね。
クロスも段々過激になってきていて今度はスロープスタイルに人が集まってきましたが、ここもまた衰退してきている感じがします。
近年、アイテムがどんどん巨大化しているじゃないですか・・・。
R:アイテムの巨大化に比例してトリックの難易度も上がっていますし、危ないですよね。
O:そこで次のトレンドとしてグラトリやパウダーですね、これなら目立てそうだ!っていう一般ユーザーのトレンドかと思います。
R:グラトリは比較的安全ですもんね。
SNSの投稿でもグラトリ系の投稿が多くなっている印象はあります。
そのシーズントレンドに合わせて板をリリースされているのですか?
O:そうですね、グラトリに関しては情報が取れるグラトリのテスターがいないため、やはり遅れますがレーサーがいた時はレースボードを充実させることができていました。
当時はパイプが流行っていても、うちは選手がいなかったから1アイテムくらいしかなかった。
それで、今度はテクニカルの方でフリースタイルが増えてくると比例して必然的に増えてくる。
だから市場にというか、ユーザーとテスターとのコラボレーションでスノーボードのラインナップが変化します。
R:次に、スキーとスノーボード双方手掛けられてメリットというか、スノーボードしかやっていないブランドさんとか
スキーしかやっていないブランドさんってあるじゃないですか。
OGASAKAさんではスノーボード・スキーの間でフィードバック等はありますか?
O:それはもう、先ほど言いましたように100年の歴史がありますので滑るっていう要素ですよね。
R:まあそうですよね。ソールとかの開発とか。
O:そうですね、ソールの仕上げですね。
あるいは芯材にはウッドコアという天然素材を使っているんですけど、
木は生き物ですので曲がりとか、芯材自体が曲がったりしてるんですよ。
その目を見て張り合わせる順番を変えるとか。
それがノウハウなんです。
R:それはスキーとスノーボードって一緒なんですか?
O:根本は一緒です。
一番大事な芯の部分は一緒なんですよ。
目に見えているところでは滑走面が精密に仕上がってる部分と、
一番中の芯の部分っていうのは共通してますから。
それは歴史のノウハウが全部つぎ込めるので、大きなメリットです。
おそらくスノーボードだけを作っているメーカーさんとの差になるだろうと思っています。
R:創業当時から自社工場で生産していたんですか?
O:そうです。
そこから工場は稼動しています。
R:工場は当時から今の長野市栗田にあったんですか?
O:場所は一度引越しています。
引越してはいますがノウハウ的には蓄積しています。
R:先ほどのお話で、こだわりを持っているとおっしゃっていたウッドコアについて少しお話を聞かせて下さい。
O:ウッドコアは国産の木材とカナダを含めた輸入材を適宜使用しています。
段々天然資源が減ってきていますのでね。
やっぱり遠方から輸入しないとならないことケースもあります。
スノーボードに適した素材も必要で、なんでもいいわけではないので。
輸入材っていうのも、うちが直接じゃなくって商社を通して買っています。
R:コア材の素材を木材にこだわる理由などはありますか?
O:スキーの場合は人工素材、プラスチックで作っているところもありますが、スノーボードの場合はウッドコアが多いと思います。
しなやかさや、繊維の持っている粘り、振動吸収など扱いやすい部分がたくさんあるんです。
R:OGASAKAさんはスノーボードの国内ブランドで最大手だと思いますが、「日本の雪」にあったソールに仕上げられているのですか?
O:ソール自体は海外からの輸入です。
その素材の製作工程とか、スノーボードを完成させるまでの工程をOGASAKA独自で行なっています。
実際の日本の雪を滑って完成させるので、そういう意味では「日本の雪」ということになってきます。
もう少し細かいことを言うと、長野の雪と新潟の雪は全く異なるのでなんとも言い切れない部分ではありますね。
流石に各地のデータ取りまではできませんので。
R:昨今ゲレンデにも外国人の方が多くなってきていると思いますが、
外国人の方にOGASAKAの板を乗ってもらいたいという想いはありますか?
O:それはもちろんあります。
ただ、知ってもらうきっかけやタイミングがないというか。
選手たちがニュージーランドに行ったり、逆にニュージーランドから来たりする中で
OGASAKAを見て興味を持った人たちから連絡が来るということがたまにありますね。
ほんの少しですが。
他には日本に来た人がたまたま人の板を借りてOGASAKAに乗ったときに、「知らないブランドだけど良かった」といったメールをもらったことはあります。
R:近年、白馬とかニセコは日本人のほうが少ないと言っても過言ではないくらい外国人の方が多くなっていますが、
個人的にはそういった海外の方に日本国内ブランドのボードを使ってもらいたいですよね。
ジャパンクオリティは定評あると思いますが日本は発信していく力が乏しいかなと感じています。
rider:Yuko Nakamoto
photo:Gamichan
R:世界に誇れるような点、OGASAKAさんが意識しているような事などはありますか?
O:見た目や形では計り知れないところですね。
仕上げや精度は会社の伝統ですが、そこの表現が難しいところです。
訴えかける表現方法が難しいと思っています。
購入する人達にとってはブランドイメージやデザインが先行しがちです。
実際にソールを見たとしても良い悪いの判断が難しいですよね。
たまたま何かの縁でOGASAKAを乗ってくれた人達がファンになってくれる。
熱烈なファンになってくれる人もいますが時間が掛かります。
体験した人でないと伝わりにくい部分ではありますね。
R:試乗会に外国の方が来られることはありますか?
O:たまに来ますけど受け入れ側が大変です。
まず、言葉の問題がありますね。
乗ってもらうと「good」と言ってもらえますが「どこで買えるのか」ってなった時に購入が難しい。
大概は旅行者の方なので乗って終わりになってしまうケースが大半です。
ウチの社員に一人だけ英語が話せる社員がいるので、試乗会にその社員がいればコミュニケーションが取れるのですが。
そこから一本でも購入してくれて自国に持って帰ってくれればそこから広がるかもしれないとは思いますが。
R:決して安い買い物ではないですからね。
O:そうでね。
R:OGASAKAさんのこれからの展開、方向性などをお聞かせください。
O:国内はもちろん、海外の人にもっと使ってもらいたいと思っています。
10年来ずっと思い続けていますが、国内で活動しているだけなので手段や方法の問題もあって
なかなか実現していないのが現状です。
数年前から英語のホームページを開設しており、そこから月に数件程度メールでの問い合わせはあります。
そこからさらに物を送ってとなると、数としてはかなり少なくなりますがゼロではないです。
その他にフランスのレーサーやアメリカのコーチに供給したりはしていますが、目に見えるような形での広がりはまだないですね。
近隣の韓国ではスキーの代理店があるため、そこの代理店経由でスノーボードは結構入っています。
中国も韓国の影響が出始めており、いくつかスキー場が建設されたり、大きな屋内スキー場もオープンするということでウインタースポーツへの関心は高まっているためようです。
そこでもオファーを頂いて販売を始めています。
R:メイドインジャパンスノーボードのクオリティの高さが世界で評価されるのを楽しみにしております。
本日はありがとうございました!
O:こちらこそありがとうございました。
OGASAKA公式ホームページはこちらから↓
http://www.ogasaka-snowboard.com/
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