スノーボードのコラム

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スノーボードでキッカーにチャレンジする前に知っておきたい知識とチェックすべき8つのこと

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107,807 views 2018-10-15 UPDATE

スノーボーダーならば、誰もが一度はパークでキッカーをカッコよく飛ぶ姿に憧れを抱きますよね?
ストレートジャンプは、なんと言ってもフリースタイルスノーボードの花形です。

特に昨今では、ジャパンライダーたちが世界で活躍していることも影響して、キッカーに興味を抱く若者が増えてきている印象です。
しかし、興味を持ってトライすることは素晴らしいことですが、アクションスポーツであるスノーボードでは"チャレンジする = リスクが高まる"ということを認識しなければなりません。

そこで、今季は思い切ってパークでキッカーにチャレンジしたいと思っている人のために、知っておきたい基本的なキッカーの知識や、ジャンプで気をつけるべきこと上達するためのヒントなどをレクチャーしていきます。

既にパークにエントリーしてストレートジャンプを楽しんでいる人も、改めて初心に戻ってチェックしてみてください!

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キッカーの各部名称

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まずは、キッカーの主要部分の呼び方を紹介します。
ハウツーや仲間同士の会話でも頻繁に使われるので、どこの部分なのかを把握しておきましょう。

アプローチ

キッカーにエントリーするために助走するバーンのこと。

アプローチでは、チェックを入れたりしてスピード調整しながら、キッカーに向かって直進します。
スタートの目安となる位置に目印が置いてあるパークもありますが、技術ややりたいトリックに合わせてスタート位置は調整しましょう。
安定したアプローチランこそ、ジャンプ成功の鍵を握ります。
また、どんな場合もアプローチの横断は絶対にNGです!

トランジション

傾斜のあるアプローチがだんだんとフラットになり、いざ台を上っていくRの部分がトランジションです。
このトランジションのRが小さいと上方向に飛び出すいわゆるアップ系キッカー、Rが大きいと前方向に飛びやすいライナー系キッカーになります。
トランジションは身体に最もGがかかる部分なので、潰されないように重心を低く保ちながら抜けることが秘訣です。

リップ

飛び出しの部分がリップになりますが、トランジションの部分も合わせてリップということもあります
”リップが立っている”、”リップがねている”という表現をよく聞くと思いますが、先程説明したトランジションのRの形状によって変わってきます。

ストレートジャンプでは、ボードのテールがちょうどリップにさしかかるギリギリのポイントでオーリーしてテイクオフするのが基本なので、とても重要な部分です。
降雪時や悪天候時で視界が悪いときには、リップに色のついたラインを引くことで飛び出し口を見やすくし、安全に飛べるようにします。

テーブル

リップからランディングまでの間の平な部分がテーブルです。
初心者の方は知らない方が多いと思いますが、キッカーサイズはこのテーブルの長さで計られ、10mのキッカーと言えばリップからランディングまでの距離が10mということです
ここは通常ジャンプして飛び越える部分なので滑ることはありませんが、ジャンプの飛距離が足りずにランディングまで届かないと”テーブル落ち”してしまうことに。
テーブルの終わりでランディングとの境が「カド」や「デコ」と呼ばれ、ランディングにギリギリ届かないと"カド落ち"や"デコ落ち"となり、衝撃もかなり大きくなってしまいます。

ランディング

着地するための傾斜のあるバーンがランディングです。もっとも安全に着地できる部分がスイートスポットと呼ばれます。
衝撃を吸収するよう斜度が計算されて設計されているので、ある程度の高さからの着地でもここまで届けばスムースに行えます。
ジャンプが足りないとテーブル落ちになりますが、飛びすぎてランディングを超えてしまうとその先の“フラット落ち”になってしまい、とても危険です。
必ずキッカーサイズに合わせたジャンプを心がけましょう。

キッカーの形状

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キッカーの台にはいくつかの形状があります。これは、雪の量やパークが設置されるもともとのバーンの斜度や地形などにも関係しています。
ゲレンデによくある代表的な3つを紹介すると、

①ステップダウン

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ランディングがテイクオフするポイントよりも低い位置にあるのがステップダウンキッカーで、もっともよく見かける形状です。
空中に飛び出したらテーブルを抜けて、そのまま落ちるようにランディングがあるので飛距離をかせぐことができ、スピンの回転数なども伸ばしやすいでしょう。滞空時間が長く、浮遊感を楽しめます。

②テーブルトップ

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テーブルトップキッカーは、真横から見ると台形のような形をしています。
テイクオフとランディングの高さががテーブルを挟んでほぼ同じなので落差が少なく、万が一ジャンプの距離が届かなくても衝撃が少なくて済むので、ビギナーが練習するには一番おすすめです。

③ステップアップ

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リップよりもランディングが高い位置にあるのがステップアップキッカーです。
落差の大きいステップダウンキッカーと比べると着地の衝撃が少ないので、ビッグサイズになっても安全性が高いと言えます。
ただし、デコ落ちの際のダメージは大きいので気をつけましょう。

その他、リップを抜けてランディングが正面ではなく両側面にあり、左右どちらでも好きな方向に斜めに飛べるスパインや、バックサイド・フロンとサイドどちらかの側面にランディングするヒップ、春先になって雪が減ると登場する、テーブル部分に穴があいたキャニオンなどがあります。

キッカーを飛ぶ前に

キッカー飛ぶ前に

スノーボードのケガの多くは、パーク内で起こります。
コース滑走中に普通に転ぶのと、キッカーでジャンプを失敗して転ぶのとでは、どちらのほうが大きなケガに繋がりやすいかは、簡単に想像できるでしょう。

そこで、ケガせず安全にジャンプを楽しむためにも、まずはキッカーに入る前に自分のスキルと飛ぶ台をチェックしておきましょう。
ここに挙げるチェックポイントを最低限すべてクリアしていることが、キッカーエントリーの大前提です!

セルフチェック編

□スピードコントロールは完璧か?
□フルスピードでゲレンデを直滑れるか?
□滑りながら狙ったポイントでオーリーできるか?
□ビビっていないか?

アプローチの滑りが不安定では、100%ジャンプは成功しません。
狙った場所(=リップ)に狙ったスピードでエントリーできなければ、ジャンプの方向がそれてしまったり、マクられてしまったりしてとても危険。
まずは、フリーライディングで完璧なスピードコントロールを身につけることが第一歩です。

そして、両足でボードを踏み込みながら直滑る練習も欠かせません。
アプローチでのスピードコントロールは、リップの直前ではなく、トランジションに入る前の段階で行います。
チェックを入れる(ターンなどで減速させる)以外は、アプローチでは基本的に直滑ることになるので、ゲレンデで直滑ることに慣れておく必要があります。

スノーボードキッカー2

適正なスピードでまっすぐリップに入っていければ、あとは台が勝手に飛ばしてくれると思ったら大間違いです。
キレイな放物線を描き、ジャンプを自分でコントロールするためにも、テイクオフではオーリーするのが基本です!
オーリーの練習は、まずはフラットで止まった状態から行いましょう。

段々慣れてきたら、滑りながら練習し、徐々に地形などを利用して狙ったタイミングで飛べるようにしていきます。
キッカーではオーリーをかけるのが早すぎても遅すぎてもNGなので、リップにさしかかるタイミングで確実に踏み切れるように練習を重ねておくことが大切です。
ちなみに、キッカーでは全力でオーリーするとバランスを崩しやすいので、あくまでも踏み切りは軽いオーリーでOKです。

恐怖心があるうちは入らないことが懸命

キッカーを前にして恐怖心が強すぎるようならば、まだエントリーは控えたほうがいいでしょう。
いざキッカーに入るときには、もちろん緊張感は持ちつつも、リラックスした状態で臨むことが大切。

力が入りすぎているようでは、体がうまく動くはずありません。
キッカーで飛ぶことをイメージしながら、フリーライディング中にオーリーをしたり、ウエーブや斜度の変わり目でジャンプしたりして、何度も練習を重ねていくうちに自信はついていくはずです。
体と気持ち、その両方の準備が整ってから、はじめてキッカーにチャレンジするように!
焦ってもいいことはありません。

アイテムチェック編

□キッカーの形状やサイズを把握できているか?
□アプローチやリップが荒れていないか?
□ランディングは十分にあるか?
□コース内に人がいないか?

キッカー

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キッカーに入る前に、必ず一度は台を真横から観察して、サイズや形状をチェックしておきます。
また、他のひとがどれくらいのスピードでエントリーし、どのくらい飛んでいるかも観察して参考にしましょう。
どの位置からアプローチすればいいか、リップが上がりすぎてないか、テーブルが長過ぎないかなど、自分の実力で飛べる台なのかをしっかり見極めましょう。

キッカーの安全性をチェックしよう!

キッカーの安全性をチェックすることは、飛ぶ人の責任です。
形状やサイズが大丈夫そうでも整備が行き届いておらず、アプローチやリップが荒れていたり、テーブルやランディングが掘られていては危険です。
自分の身を守るためにも、キッカーの状態が悪いようならば、整備が入るまで飛ぶのを待つべきです。

アイテムチェックではリップの形やテーブルの長さに気を取られがちですが、ランディングの安全性も重要なチェックポイントなので見逃さないように!
ランディングの斜度や長さが十分にあるか、また硬すぎないかなどもしっかり確認しておくこと。

キッカー飛ぶ前
そして、ランディングに人がいる時は飛んではいけません。
飛んだ先に人がいないかをよーく確認してからエントリーしましょう。
スタート地点からランディングは見えづらいので、前に飛んだ人がランディングから抜けたかをしっかり確認しておくことが大切です。

自分のことに集中するのはけっこうですが、周りの人の動きにも注意を払うことを忘れないでください。
言うまでもありませんが、スタート位置に並んで飛ぶ順番を待っている人たちを差しおいてスネークするなんて、言語道断です。

しかし、いくら自分が順を守ってエントリーしたとしても、マナーの悪い人がスネークしてすぐ後ろから入ってくる可能性もゼロではないし、次の人がちゃんと見ていない場合もあります。
そんな時のためにも、転倒してしまった場合はなるべくすぐにコースの真ん中から移動することを習慣づけておきましょう。

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上達のためのポイント

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ここで、まず最初に習得したいストレートエアのポイントを、具体的に見ていきましょう。

アプローチ

-チェックを入れてスピードコントロールをしたうえで、どちらかのエッジに偏ることなくなるべくフラットに両足でボードを踏み込んでキッカーに向かう。
-前のめりや後傾にならないように注意し、重心を低く保つ
-ジャンプの軌道がそれてしまわないよう、目線をリップに向けたまま真っすぐに進んでいく

テイクオフ

-リップに対してボードが直角の状態で踏み切る
-テールがリップのラインギリギリにさしかかるタイミングで後ろ足をポンと蹴る
-オーリーはあくまでも軽くでOK

エア

-空中に飛び出したら両足を体に引きつけてなるべくコンパクトな姿勢を保つ
-エアのピークを過ぎたらランディングを確認し、着地に備える
-慣れてきたら、グラブもしてみよう

ランディング

-両ヒザを屈伸させて衝撃を吸収しながら、両足同時にランディングする
-目線は真下ではなく、滑って行く方向へと向けておく
-「絶対に立つ!」という強い気持ちも必要!

キッカー 飛び出し

credit :Mitch Gunn / Shutterstock.com

キッカーでのジャンプというのは、段階を踏んで徐々にステップアップしていくものです。
ビッグキッカーを飛びたいからといって、いきなり大きな台に挑んでもケガをするだけ。
まずは小さな台からジャンプに慣れていき、徐々にサイズアップしていきます。もちろんトリックも順を追って習得していきます。
例えば、キッカーで180を回すことが目標ならば、以下のようなステップを踏んでいくといいでしょう。

キッカーで180を習得するための手順

STEP1
ストレートエアを完璧にする。
ちなみにストレートエアにまだまだ自信がないという方は下記の記事を参考にしてみて下さい!

スノーボードトリック01 : ストレートエア(ジャンプ)

#スノーボードのハウツー

STEP2
グラブをしながらストレートエアに挑戦!

STEP3
グラトリで180を覚える

STEP4
スムースにスイッチでライディングできるようになる

STEP5
ウエーブや地形を利用して180

STEP6
小さなキッカーで180にチャレンジ!

スピンをしたいんだから、グラブは関係ない!
と思うかもしれませんが、ストレートエアであらゆるグラブをマスターしておけば、それだけ空中姿勢が安定してジャンプにも余裕が持てるようになります。
グラブによって態勢がよりコンパクトになり、さらにはバックサイドスピンならばインディ、フロントサイドスピンならばステールフィッシュなど、グラブする位置で回転がし易くなるんです。
そして、スイッチもままならないのに、スイッチランディングのトリックに挑むことがどれだけ無謀かはお分かりでしょう。

もちろん、無理矢理回すダサいエアよりも、スタイリッシュでスムースなエアを目指したいですよね?
最終的にカッコいいジャンプをキメたいなら、これらのステップひとつひとつを完璧にしていくことが、一番の近道となるはずです。

また下記記事では、WOOT SNOWBOARD SCHOOLが協力してくれて作成したフロントサイド180のキッカー編の記事になりますので、参考にしてみて下さい!

スノーボードトリック02 : FS180(フロントサイド ワンエイティー)

#NEWMOVIE

挑戦にリスクは付き物

スポーツで新しく何かに挑戦する時って、今までやったことのない動きをするため、自分が思い描いていたイメージと体が連動しないことが往々にしてあります。
特にスノーボードでキッカーに挑戦することは、サッカーや野球といった一般的な陸上で行うスポーツとは違って雪上で、しかも空中に飛び出していくという日常生活では絶対にしない動きになります

その分怪我をするリスクも高まるのは簡単に予想することができるでしょうが、スノーボードで痛い目にあったことがない初心者の人は特にキッカーに入ることに対して甘く見る傾向にあります。
下記でご紹介するヘルメットとプロテクターの知識や装着する理由などを説明したコラムを一読して、可能ならば両方購入してからキッカーに挑むようにしましょう!

【2022年最新】スノーボードで命を守るヘルメットやプロテクターの必要知識

#スノーボードで使う道具

繰り返しになりますが、キッカーで上達したいなら、基本からみっちりと確実にマスターしていくことです。
どんな高度なトリックをカッコよくキメているライダーだって、最初は小キッカーでのストレートエアから練習していったんですから!
それから、ジャンプに夢中になりすぎて、丸一日キッカーの練習で過ごすというのも、あまり効率がよくないのでオススメできません。

あくまでもスノーボーディングの基本はフリーライディングにあります。
フリーライディングが上達してこそ、ジャンプだって上達できるのだから、フリーライディングをおろそかにせず、バランスよく練習していくようにしましょう。
以上のことを忘れずに、楽しみながら上達してカッコいいジャンプをキメてください!

Writer
Makiko Kishino
Makiko Kishino ライター・エディター

白馬でスノーボードショップを営む、元スノーボード誌編集者のフリーライター。
田舎ライフをマイペースに満喫しながら、とことん遊びを追求しています。

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