以前、日本痛板協会主催のイベントゲレンデジャックに参加させて頂いた。
その際に、痛板というものに出会い、その魅力にとりつかれた私は、ついに、自分の板を痛板にすることにした。
今回の取材では、痛板制作で有名なAMAX(エーマックス)にご協力頂き、痛板を制作する工程と、大事なポイントについてお伝えしていこうと思う。
Contents
痛板制作にかかった時間
制作にかかった時間は、デザイン素材の入手から施工作業まで、合計で、4時間位で完成させることができた。
・デザイン素材入手 30分
・画像データ作成 120分
・ステッカー施工 90分
※画像データを印刷業者に入稿してから、受け取るまでに2週間程時間がかかったので、完成品が出来上がるまでには、2~3週間とみておくのがよいだろう。
痛板制作方法
大きくわけると下記の3種類にわけることができる。
1.自分で印刷し、自分で貼り付ける
2.業者に印刷してもらい、自分で貼り付ける
3.業者に印刷してもらい、業者で貼り付ける
1番の『自分で印刷し、自分で貼り付ける』は、すべての工程を自分で行うということだ。
既に、パソコンと家庭用のプリンターを持っていることが条件にはなるが、制作費用と制作期間が少ないので、複数枚の痛板を制作したい方にはおススメの制作方法となる。
3番の『業者に印刷してもらい、業者で貼り付ける』は、デザイン素材や仕上がりのイメージ、貼り付けてほしい板を業者に送り、制作の全てを業者にお願いするというもの。完成まで数週間程時間が必要になるが、専門業者ならではのキレイな仕上がりが特徴だ。
絶対に失敗したくない方や、制作に時間を割けない方におススメのプランだ。
今回痛板制作では、2番の『業者に印刷してもらい、自分で貼り付ける』を採用した。
デザイン画像の作成とステッカー貼り付け(施工)を自分で行い、印刷のみ業者にお願いする。というものだ。個人的にも、この方法がおススメで、痛板愛好家のなかでも一番人気のあるやり方だそうだ。
痛板制作にかかる費用・期間
色々な痛板業者のサイトを確認してみると、おおよそ下記の通りとなった。
1.自分で印刷し、自分で貼り付ける
期間:最短で数時間
費用:5,000円~(インク代+印刷用シート代)
2.業者に印刷してもらい、自分で貼り付ける
期間:数週間
費用:10,000円~(ステッカー代)
3.業者に印刷してもらい、業者で貼り付ける
期間:数週間
費用:17,000円~(ステッカー代+ステッカー施工代)
この中で、一番安上がりなのは、1番の『自分で印刷し、自分で貼り付ける』だ。
印刷用の特殊用紙として5,000円もあれば、痛板制作が出来てしまううえ、作業に慣れてくると、半日程で痛板を制作することが可能となる。
一番高額になるのが、3番の『業者に印刷してもらい、業者で貼り付ける』だ。
デザイン素材や仕上がりのイメージ、貼り付けてほしい板を業者に送り、制作の全てを業者にお願いするというもの。完成まで数週間ほど時間がかかるが、専門業者ならではのキレイな仕上がりが期待できる。
2番や3番を選ぶ場合、複数名で同時に発注すると、人数に応じて団体割引が適用される場合がある。人数が多いほどお得になるため、友人に痛板を制作する予定のある方がいれば、一緒に業者に注文することをおススメしたい。
※ステッカーの材質や印刷業者によっても価格はかわってくるので、興味がある方はAMaxの料金表をチェック。
どのように情報収集すればよいか
インターネットで『痛板 制作』などで検索すれば有益な情報を得ることができるだろう。
日本最大級の規模を誇る痛板のコミュニティ『日本痛板協会』のWebサイトでは、痛板に関連したイベント情報なども公開しているため、痛板に興味があれば必ずチェックしておこう。
痛板制作の全工程
制作工程は、ステッカー業者に依頼する作業量で変わってくるので、制作時間や制作費用と相談して決めるのが良いだろう。
大まかな工程としては、下記の通りだ
【準備】
1.ステッカー印刷方法を決める
2.ベースとなる板の入手
3.デザイン素材の入手
4.デザインソフトの入手
5.施工用具の入手
【デザイン制作】
6.デザイン作成
7.デザイン入稿
【施工作業】
8.ステッカー貼り付け
■工程紹介 準備編
1.ステッカー印刷方法を決める
『痛板制作方法』でも記載したが、下記3種類の制作方法によって印刷方法や工程がかわってくる。
1.自分で印刷し、自分で貼り付ける
2.業者に印刷してもらい、自分で貼り付ける
3.業者に印刷してもらい、業者で貼り付ける
はじめて痛板を制作する方には、2番か3番がおススメだ。
2.ベースとなる板の入手
基本的には痛板は一枚の大きなステッカーを板に直接貼り付ける。(自分で印刷する場合は3枚~4枚に分割して貼り付ける)
そのため、板の表面に特殊な加工(凹凸やエンボス加工など)が施している板は痛板に使用できない場合があるので注意して頂きたい。
3.デザイン素材の入手
今回の記事では、日本痛板協会のオリジナルキャラクターを使用させていただいた。
※このキャラクターは商用利用目的でなければ、自由に使ってよいとのことなので、気になる方は日本痛板協会に問い合わせてみよう。
ここで注意点なのだが、ネットで入手できる著作権がかかっている画像やイラストを無断で使用することは控えるようにしよう。あくまでも自己責任で制作するので、後々トラブルにならぬよう、配慮が必要だ。
もし、著作権付きのイラストを痛板に使用したい場合は、作者や著作権をもっている企業などに問い合わせ、使用許可を得てから使用するように。
4.デザインソフトの入手
Photoshopやillustratorといったデザインソフトを用いて画像データを作成するのだが、そもそもそのようなデータを作成したことが無く、デザインソフトを持っていない方は、無料で使用できるGIMPというソフトをおススメしたい。
今回の痛板制作にはGIMPを使用し、画像データを作成した。
このソフトは今回はじめて使用したのだが、ネットで使用方法を調べながら操作したら、1時間程でデータを作成することができた。
使いやすいインターフェースと操作方法を簡単に検索できるので、デザインソフトに迷ったらGIMPを検討してみると良いだろう。
5.施工用具の入手
施工用具といっても、100均でそろうような文房具レベルのアイテムを用意すれば良い。
手作りステッカー用の特殊用紙
自分で印刷する方は、これが無いとはじまらない。
できれば、強粘着タイプか耐水性の高い台紙を選んでいただきたい。
カッター
板に張り付けたステッカーの余分な部分を切り取るのに使用する。
ステッカーが切れれば良いので、簡易的な物でも使用可能だ。
スクレイパー
ステッカーを貼り付ける際に使用する。
ワクシングで使用するスクレイパーでも代用可能ではあるが、ステッカー表面にワックスが付着してしまう可能性があるので、持っていなければ定規などでも代用可能。
霧吹き
ステッカーを貼るときに、霧吹きで水をかけながら貼り付けていく。
中にはすこし洗剤を溶かした液体をいれるため、できれば専用の霧吹きを用意したほうが良いだろう。
キッチンペーパー
霧吹きで水をかけながらステッカーを貼り付けるので、部屋がびちょびちょになってしまう。
あれば何かと便利なので、用意しておこう。
アルコール
薬局で買えるアルコールや無水エタノールを用意しておこう。
板にステッカーを貼り付ける際に、接着面に油分やホコリが付着していると、ステッカーがはがれやすくなるだけではなく、仕上がりも悪くなってしまうため、接着面に付着した汚れを拭き取らなくてはならない。
その際にアルコールがあるとキレイに接着面を掃除することができるのだ。
※もし、アルコールが無い場合は、一応Jippoオイルや液体のワックスリムーバーでも代用とすることはできるが、板のトップコートを痛めてしまう場合があるので、代用する際は目立たない場所で事前チェックを行ってから実践するようにしよう。
潤滑用洗剤
霧吹きのなかにいれる水に数滴垂らし、潤滑性をよくするのが目的。新たに買うのはもったいないので、台所の洗剤で代用しよう。
■工程紹介 デザイン制作
6.デザイン作成
デザインの作成は痛板制作の最重要ポイントだろう。
デザインをイメージする際には、ネットでいろいろな痛板をチェックするところからはじめると良いだろう。
以前にかいた記事にも痛板の写真をのせているので、参考にして頂きたい。
また、デザインを作成する時には、印刷業者で配布しているテンプレートを使用すると、作業がしやすくなる。
AMaxでは専用のテンプレートを用意しているので、テンプレート上でデザインを作成するようにしよう。
7.デザイン入稿
画像データを入稿する際は、出力見本(JPEG画像など)と出力データ(aiもしくはpsd)の数種類を業者に入稿することになるため、予め業者のWebサイトなどでチェックしておこう。
業者によっては、データ入稿後にサイズ直しや簡単な調整を行ってくれるところもある。
ちなみに、AMaxでは画像調整を行って頂き、大惨事になるところを未然に防いで頂いた。
当たり前だが、データ入稿前にはしっかりとデータ内容を確認することをお忘れなく。
8.ステッカー貼り付け
ここからは、印刷が完了したステッカーを板に張り付けていく。
※Amaxのホームページで作業工程の解説動画をみることが出来るので、作業まえに一度確認しておこう。
まず、ステッカーが郵送されてきたら開封し、同封物も確認しよう
AMaxでは、ステッカーと一緒に、スキージ(スクレイパーのようなもの)とスキージ用の保護フィルム、粘着テスト用のステッカーが同梱されている。
※AMaxを利用する際は、水捌け用のスクレイパーは必要ない
作業に必要な準備として、先に紹介したアイテムを用意し、板をワックス台か机の上に設置しよう。
床に直置きでも作業はできるのだが、作業効率が悪くなってしまうため、出来るだけ台の上で作業するのが良いだろう。
あと、可能であれば、2人で作業したほうが良い。
1人でも作業できるのだが、不慣れなうちは2人で作業し、協力しながら制作したほうが仕上がりは良くなるだろう。
ここからの作業は1時間弱必要になるので、ある程度の時間的余裕があるタイミングを見計らって作業を開始してほしい。
まずは、板の汚れチェック&汚れ落とし
恥ずかしながら、私の板も汚れが目立つ状態だったので、アルコールでしっかりと油分・ホコリを除去した。
その後は、ビンディング取り付け位置の確認
ステッカーを貼ってしまうと目印が消えてしまうので、取付位置と角度をメモしておくか、写真をとっておこう。
表面をきれいにしたら、早速ステッカーを貼っていく。
(大変申し訳ないのだが、この作業は不器用な大人2人でひーひーいいながら作業したため、写真を撮り忘れた)
まずは、粘着テスト用のステッカーで貼り付け作業の練習及び粘着力をテストしてみよう。
作業のコツは、一度に全ての台紙を剥がさずに、少しづつ(10cmくらい)はがして、板に貼っていく。
板に貼るときには、ステッカーの粘着面(粘着剤がついている面)と板の接着面に霧吹きで水をかけ、水がステッカーと板の間に残らないように、スキージでステッカーの上から水を掻き出していく。
この作業を繰り返し行うと、キレイな仕上がりで、長持ちする痛板が完成するのだ。
テスト用のステッカーが貼り付け終わり、余分な箇所をカッターで切ったら、一度粘着力テストを行ってほしい。
一般的な板であれば、強力に張り付いているはずだ。
テストが終わったら、テスト用のステッカーを剥がし、再度板の接着面をアルコールで掃除し、本番用のステッカーを貼り付ける。
先ほどのステッカーとは違い、サイズが大きいため、一人は霧吹きと掻き出し役、もう一人は、ステッカーを持ち台紙を少しづつ剥がす役という感じに役割分担をした方がよい。
貼り付け直後、カッターで余計な部分をカットする前
ここから、カッターで余計な箇所を切り取り、ビンディング用の穴周辺を切り取る
ここでビンディングを取り付け痛板の完成だ
■痛板を長持ちさせるためのコツ
ステッカーの端が板の側面まで伸びている場合、ステッカーと板の隙間に水が入り、はがれやすくなってしまう。
板をできるだけ長持ちさせたければ、ステッカーの端は板の外周から0.1~0.3cm位内側になるようにカットするようにしよう。
また、Rice28から発売されている『No! Bruise Disk Mark Sheet』という板の保護シートを使用することで、痛板のステッカーと板自体の強度を高め、長く使用できるようにしてくれる。
※詳細は、別記事でも紹介しているので、気になる方は要チェック!
デザインは2種類で、『クリア』と『マット』
※写真では見ずらいが、左側がクリアで右側がマット
ビンディングの取り付け位置の下にくるように調整して、貼り付ける
このシートを使うことで、ビンディング周りの強度が高くなり、板が折れづらくなるのだ。
また、板とビンディングのこすれによるステッカー破損も防げるので、長く痛板に乗りたい方にはおススメのアイテムだ。
■痛板を作ったらすべきこと
痛板をつくったら、痛板イベントをチェックしよう。
特におススメなのが、日本痛板協会が主催する、日本最大級の痛板オフ会『ゲレンデジャック』だ。
毎年、長野県白馬村で開催され、日本中の痛板愛好家が一同に会するイベントで、以前私も取材したのだが、とにかくその楽しさには驚いた。
痛板ファンもそうでない方も、参加者全員が笑顔になれるイベントなので、是非とも参加してみてほしい。
最後に
今回取材にご協力いただいたAMaxはステッカー作成のプロ集団だ。
特に痛板制作には多くの実績を持っており、痛板ユーザの中でも信頼はあつい。
もし、業者選定に迷っていたら、AMaxがベストチョイスになることだろう。
AMaxホームページはこちら
元スノーボードインストラクターのIT系Webライター
長野や北海道、マウントフッド(アメリカ)、ウィスラー(カナダ)等
様々なスキーリゾートを転々とした後、東京に落ち着く。
現在はWeb制作を行う傍ら、スノーボード系のライティングを行う日々。
妻と娘の3人家族の35歳。
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