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九谷焼は大胆な色使いが特徴!歴史や製造過程を知ってさらなる魅力に迫ろう

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193 views 2024-12-21 UPDATE

石川県の能美市で製造される九谷焼は、鮮やかで力強い絵付けが魅力であり、日本を代表する陶磁器として知られています。

日本国内はもちろんのこと、世界的にも注目を集めており、今後ますます人気が出ることに疑いはありません。

この記事では、九谷焼の歴史・特徴・製造工程から著名な窯元までわかりやすく解説し、その魅力を余すところなくお伝えしていきます。

九谷焼とは?

九谷焼は石川県の九谷村を発祥とし、現在は石川県の南部(加賀市・能美市・小松市・金沢市など)で製造される陶磁器を指します。

九谷焼を知る上では、その深い歴史と陶磁器としての特徴を知ることが欠かせないため、それぞれについて詳しく知っていきましょう。

九谷焼の歴史

九谷焼の発祥は江戸時代初期の1650年頃までさかのぼります。

当時の加賀藩の殖産政策の1つとして九谷村(現在の石川県加賀市)で始まったとされていて、この名残から「九谷焼」と呼ばれています。

しかし、その後半世紀ほど経った1700年代の初頭に突如として製造を打ち切っており、この頃に作られた九谷焼は「古九谷」と呼ばれます。

それから1世紀後の1800年代初頭、当時の加賀藩が陶工を京都から招聘したことを契機に、多くの窯で製造がスタートしました。

この頃の九谷焼は「再興九谷」と呼ばれ、ここから目覚ましい発展を遂げます。

明治時代になると、九谷焼は日本の輸出品として選ばれるようになり、当時世界で流行を見せていたジャパンクタニとして、欧米諸国からの人気を集めました。

1873年に開催されたウィーン万国博覧会など、世界中の著名な博覧会への出品を重ねる中で、欧米諸国の技法を積極的に導入し、量産体制を整えたことが九谷焼の地位を確かなものにします。

九谷焼の特徴

九谷焼の最大の特徴は「九谷五彩」と呼ばれる、赤、黄、緑、紫、青の5色を用いた、大胆な絵付けです。

一般的な陶磁器ではシンプルな見栄えを好み、2色から3色を用いるため、九谷五彩の持つ存在感は格別です。

また、窯元はもちろんのこと、職人ごとの個性が如実に出るのも九谷焼の特徴で、製品ごとにまったく異なる世界観を楽しめる点は非常に興味深いといえます。

磁器に描かれる「梅に小鳥」は九谷焼の象徴でもあり、花瓶や茶器、置物など、さまざまなものに描かれています。

九谷焼の製造過程

九谷焼の美しい装飾や高い機能性のエッセンスは、製造過程に詰まっています。

ここでは、古くから伝わる九谷焼の製造過程を、6つのステップに分けて解説していきます。

1.成形

石川県小松市にある花坂山で採石されるものを材料とし、粒子が極めて細かい粘土のみを集めることで坏土(はいど)を作ります。

その後、轆轤(ろくろ)と呼ばれる回転式の装置を使って成形し、およそ900度で素焼きを行います。

2.下絵付け

素焼きを終えた後、九谷焼の象徴でもある鮮やかな装飾の下地を作る下絵付けを行います。

3.施釉

下絵付けを終えると、ガラス状の液体である釉薬(ゆうやく)を塗布する施釉(せゆう)という工程に入ります。

器全体に満遍なく、均一に塗布する必要があり、熟達した技術が求められる作業です。

4.本窯焼き

全体に塗布した釉薬をおよそ1300度の高温で焼き上げることで白くなり、綺麗なガラスの質感を持つ膜が生じます。

従来は薪を使って火を起こす登り窯を使って焼き上げていましたが、技術革新を経て、現在は電気やガスを使った窯で焼き上げています。

5.上絵付け

一般的な陶磁器は下絵付けのみで装飾を行うものもありますが、九谷焼では上絵付けを行い、鮮やかで大胆な装飾を描きます。

九谷焼の真髄ともいえる工程であり、職人ごとのこだわりが随所に見られるため、最大の見どころだといえるでしょう。

6.上絵窯

上絵付けを終えたら、最後に800度程度で焼き上げます。

絵具がガラス質に変化し器に固着することで、見る人の目を奪う逸品が完成します。

知る人ぞ知る九谷焼のおすすめ窯元2選

九谷焼には現代においてもさまざまな窯元が存在し、窯元ごとの特色を楽しめる点が魅力です。

ここでは、知る人ぞ知る九谷焼の窯元を紹介していきます。

九谷美陶園

1914年から九谷焼の製造を始めている九谷美陶園は、九谷焼の魅力を遺憾なく発揮する窯元です。

1992年には当時の皇太子殿下が湯呑みを直接お求めになったこともある名窯元で、九谷焼の中では比較的シンプルで素朴な絵付けが特徴であり、万人におすすめできる製品が多いといえます。

食器や置物はもちろんのこと、小物やアクセサリーの取り扱いもしているため、豊富なバリエーションの中から、お気に入りの九谷焼を選べる点も魅力です。

上出長右衛門窯

上出長右衛門窯は1879年、九谷焼がジャポニズムで注目を集める明治時代に創業した、歴史と伝統のある窯元です。

「伝統に固執しない柔軟な姿勢」を大切にしており、食器や置物はもちろんのこと、招き猫をモチーフにした九谷焼を製造するなど、活動の幅を年々広げています。

また、2024年の元日に起こった能登半島地震へのサポートにも意欲的で、特定商品の売り上げの一部、または全額を支援金とするなど、地元に根ざした姿勢にも注目が集まります。

まとめ

九谷焼は一度廃窯になったものの、紆余曲折を経て世界的に知られる陶磁器にまでなった、歴史ある陶磁器です。

九谷五彩と呼ばれる鮮やかで大胆な装飾は見るものを魅了し、単なる器や置物の枠を超えた、芸術品とも呼べる逸品です。

2024年に発生した石川県能登地震、および能登豪雨により甚大な肥大を受けた九谷焼のステークホルダーたちを助けることにもつながるため、ぜひ石川県に足を運び、九谷焼の魅力に直に触れてみてください。

Writer

北海道から沖縄まで、国内各地のリアルな観光情報を発信中。
穴場スポットやアクティビティをはじめ、その土地の文化・歴史・グルメなどの魅力を、地元ライターならではの視点でお伝えします。

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