スノーボードのコラム

スノーボードの歴史を語る上で欠かすことのできないレジェンドたち

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13,988 views 2018-12-7 UPDATE
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野球ならベーブ・ルース、サッカーならペレ、どんなスポーツにも誰もが知っている伝説的な英雄が存在します。それはもちろん、スノーボードにも!
スノーボードは他のスポーツに比べると歴史が浅いですが、誕生からほんの半世紀程の間に急激なスピードで進化遂げてきました。
その背景には、スノーボードのレベルをネクストステージへと押し上げてきた、シーンを代表するライダーたちがいます。
彼らはスノーボード界の“レジェンド”として世代を超えて若いスノーボーダーたちから支持され、今なお色褪せないスタイルで存在感を放っているのです。そんな、スノーボードの歴史を語るうえで欠かすことのできないレジェンドたちを、今回はご紹介しましょう。

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スノーボード業界に大きな影響を与えたレジェンド9人

テリー・キッドウェル

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credit : snowboarding8090.com

”フリースタイルの父”と呼ばれるテリー・キッドウェルは、まだスノーボードが世界に広がる前の1980年中頃から後期にかけて、スノーボードのフリースタイル性を開花させた立役者です。スノーボードは元々スキー競技が原型だったため、80年代はレース競技が中心の時代でした。当時レース主義だった東のBURTONに対し、西のSIMはスリースタイル主義を貫き、両者がしのぎをけずっていたことは有名ですが、テリーはそんなフリースタイルを推進するSIMのライダーでした。そして、1983年にSIMSが開催した世界選手権の新しいカテゴリーであるハーフパイプにおいて、初の世界チャンピオンに輝いたのがテリーなのです。
もともとランプやバーチカルで熱心にスケートを練習していた彼は、その技をスノーボードですることを試みました。そのために開発したシグネチャーボードは、それまで誰も見たことのなかったラウンドテール。スワローテールが当たり前だった当時、テリーのボードは本当に革命的なものでした。彼はそのボードでフェイキーやマニュアルトリックを可能にし、自在に華麗なハンドプラントを操り出し、雪上で初めてマックツイストをメイクし、スタイルという概念を持ち込んでスノーボードの可能性を拡大していったのです。そんな生粋のフリースタイラー・テリーの存在なくして、現在のスノーボードはあり得ないでしょう。

クレイグ・ケリー

2_クレイグ・ケリー

credit : snowboarding.transworld.net

1986年から4年連続で世界チャンピオンに輝き、US OPENで3度の優勝、マウント・ベイカーで開催されるバンクドスラロームを3回制覇するなど、圧倒的なスキルで数々のタイトルを総なめにしたスーパーヒーローこそ、クレイグ・ケリーです。もともとBMXレーサー出身の彼は1980年代に頭角を顕し、90年代初頭までハーフパイプ、アルペンレースともに圧倒的な強さを誇りました。さらにクレイグは大会での活躍だけでなく、早い段階からフィルマーやフォトグラファーと行動を共にして多くのフッテージを残し、メディアやCMにも登場していました。彼はスノーボーダーとしての価値を、コンテストに勝つこと以外にも見出していたのです。現在スノーボーダーが表現者としてその活動に重きを置くことができるのも、クレイグの功績あってこそ。SIMSからBURTONへと移籍した後はプロダクト開発にも大きく貢献し、ジェイク・バートンとともにBURTONの確固たる地位を築き上げました。
クレイグは競技を引退したあとは山を滑ることに専念し、バックカントリーガイドとしてのキャリアをスタートさせました。しかし、2003年にカナダ・ブリティッシュコロンビア州・レベルストークにて雪崩に巻き込まれ、惜しくもその生涯に幕を閉じたのです。プロスノーボーダーとしての生き方を体現し、人生をスノーボードに捧げたクレイグの精神は、多くのスノーボーダーにリスペクトされ、受け継がれています。

テリエ・ハーコンセン

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credit : snowbrains.com

史上もっとも影響力のあるライダー言ったら、誰もが迷わずテリエ・ハーコンセンの名前を口にするでしょう。コンペティションシーンがもっともアツかった1990年初頭にクレイグ・ケリーからバトンを受け継いだようにして現れ、現在に至るまでシーンの最前線で活躍する、スノーボード界の“神”とまで呼ばれる男です。
テリエの実力は、彼がまだ16歳のデビュー当初から群を抜いていました。ハーフパイプで魅せる高さ、スピンのスムースさ、スタイルでは横に出る者がいなく、またハーコンフリップなどのオリジナル技を生み出し、さらにマウント・ベイカーのバンクドスラロームでは7年連続優勝を果たすなど、長きにわたりシーンの先頭に立ち続ける、生ける伝説です。40歳を超えた現在もなお進化を続けるテリエは,バックカントリーをメインにヤバい映像を残し、若手ライダーを牽引する存在となっています。
絶対的なスキルだけでなく、テリエが崇拝される理由には、彼が「スノーボードは自由だ」という強い信念を持ち、どんな大きな力に対しても屈しないからです。象徴的な出来事として、1998年に長野オリンピックで初採用されたハーフパイプへのボイコット事件があります。FIS(国際スキー連盟)が出場選手の選定を委託されたことに、強く反発した結果でした。オリンピックを目指し活躍する若者がいるという現状はさておき、テリエが訴えたスノーボードの自由な精神は、今なお多くのスノーボーダーの心に突き刺さっていることは間違いないはずです。

ジェイミーリン

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credit : http://www.lib-tech.com/

スノーボードはもちろん、アートや音楽など幅広いジャンルで多彩なを才能を発揮するジェイミー・リンは、30代後半以上のスノーボーダーならば、誰もが熱狂させられたカリスマ的存在です。
90年代初頭にはニュースクールムーブメントが巻き起こり、コンテストが中心だった時代からから次第にムービーが注目されるようになりました。それまでのライダーたちとは完全に異彩を放っていたジェイミーは、まさにその中心となった人物。
シアトル出身で、クレイグ・ケリーと同じくマウント・ベイカーをホームマウンテンとする彼は、確かなベーススキルに独特のエッセンスを加え、ノーゴーグル、ノーグローブでガニ股の幅広スタンスという当時衝撃的なスタイルで一世を風靡しました。ジェイミーの繰り出すメソッドトゥイークやレイトで回すスピン、ポークを入れたノーグラブエアなどに、多くのスノーボーダーが虜となったわけです。
さらに、ストリートというジャンルがない時代、ゲレンデから飛び出して街中のレースをこすったハシリの人物でもあるジェイミー。雪山と同じくシティーライフも愛し、さまざまなカルチャーにインスパイアされる彼の豊かな感性があってこそ、既存の概念を覆し新たなスタンダードが生まれていったのです。

ブライアンイグチ

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credit : http://snowboardmag.com/

ジェイミー・リンとともにニュースクールムーブメントの先頭に立って活躍したブライアン・イグチ。小さい頃からスケートボードに親しみ、スノーボードのトリックのほとんどはスケートで覚えたという彼のライディングは、強くスケートの影響を受けていました。また、スケートだけでなくサーファーとしても確かな腕を持つブライアンは、サーフの要素も加えた3Sを融合したライディングスタイルで時代をリードし、人々を魅了したのです。
90年代はじめはカリフォルニア州のビッグ・ベアでパークを中心に活動しましたが、トリックを織り交ぜながら流れるように山を滑走する独自のライディングスタイルを確立させ、後に山の世界を追求してワイオミング州のジャクソンホールへと移住します。そこにはクレイグ・ケリーの影響があったといいます。
スケートスタイルが色濃いフリースタイラーから、マウンテンフリーライドの第一人者へと自らのライディングを進化させ、今なお奥深い山の世界で自身をプッシュし続けるブライアン・イグチ。スノーボードをキッズの頃と変わらず何より楽しみ愛するブライアンの滑りは、40歳を超えた現在も輝きを失うことなく、シーンに影響を与え続けています。

インゲマー・バックマン

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credit : snowboarding.transworld.net

その時代を知らない若いスノーボーダーでも、インゲマー・バックマンが1996年にスウェーデンで放った超巨大なトゥイークを一度は目にしたり耳にしたことがあるのではないでしょうか。そう、誰もが度肝を抜かれたインゲマーの特大バックサイドエアは、どれだけ時が経っても語り継がれる、スノーボード史に残る衝撃的な出来事でした。
インゲマーを一躍有名にさせたこの超人的なエアはもはや彼の代名詞となっていますが、彼はオーストリアのインスブルックで開催される世界最大のビッッグエアの祭典Air & Styleで1994年と1998年に2度タイトルを手にするなど、コンペシーンでも輝かしいリザルトを残しています。
また、「MELT DOWN PROJECT」や「STOMPING GROUND」などのMACK DAWG作品にも出演し、人々を魅了しました。1999年には「スノーボーダーによるスノーボードカンパニー」としてご存知ALLIANをスタートさせ、人気ブランドに成長させています。20年にもわたり自身のプロモデルをリリースし続けていることからも、彼の根強い人気が伺えます。

ピーター・ライン

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credit : onboardmag.com

ピーター・ラインと言えば、1994年に世界で初めてミスティフリップ(バックサイドコーク540)を生み出し、それまでフラットスピンしかなかった時代に3Dスピンブームを巻き起こしてスノーボードトリックのレベルを新たなフェイズへと移行させた張本人です。
1997年にはバックサイドロデオ540を編み出すなど、彼が生み出した技は現在も定番トリックとして親しまれています。
そんなクリエイティビティに長けるピーターの功績は新技の開発だけに止まらず、1997年からライダーズブランドのFORUMをスタート。
JP Walker(JPウォーカー)、Jeremmy Jones(ジェレミー・ジョーンズ)、Devan Walsh(デヴァン・ウォルシュ)らビッグネームの仲間ととも破竹の勢いでブランドを成長させました。惜しくもFORUMは2006年にBURTONに買収され、2012年に休止となりましたが、ピーターはFORUMでひとつの時代を築き、多くのスノーボーダーがソールにFのロゴが入ったスノーボードに大きな憧れを抱きました。かつて経営者として大きな成功を収めたピーダーは、現在はDAKINEのアウターウエアのデザイナーを務めたり、ウェブムービーシリーズを発表したりと現在もマルチに活躍しています。

JPウォーカー

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credit : www.huckmagazine.com

人気絶頂期のFORUMの看板ライダーであり、ビデオスターの名をほしいままにしたJPウォーカー。Simon Chembaren(シモン・チェンバレン)やScot Stevens(スコット・スティーブンス)などストリートシーンで活躍するライダーに大きく影響を与えた彼は、とにかく攻めまくる姿勢でジブのシーンに火をつけた立役者です。ジバーとしてのイメージが強いですが、02-03シーズンに史上初となるフロントサイド・ダブルコーク900を成功させるなど、ジャンプやハープパイプでも高いスキルをみせ、ファンを魅了しました。
パーク、ストリート、パウダーなどオールジャンルを制覇し、出演したMACK DOWG作品の「Technical Dificalties」や「Simple pleasure」「Resistance」などは、JP見たさにビデオを買った人も多いほどの人気っぷり! 滑りの映像で人々の心をわしづかみにするJPは、コンペティションではなくムービーの世界で大成功を収めた最初のライダーと言えます。FORUMを抜けた後はSTEP CHILDに移籍し、現在も変わらぬ攻めの姿勢で若手を引っぱるJPは、90年代から活躍し続ける数少ない大御所ライダーのひとりです。

トラビス・ライス

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credit : www.lib-tech.com

レジェンドというにはまだまだ現在進行形で輝かしい活躍を続けていますが、トラビス・ライスはまさにスノーボード界の風雲児です。フリーライディングの聖地、ワイオミング州ジャクソン・ホール出身のトラビスは、11歳でスノーボードをはじめ、15歳でプロスノーボーダーに。ずば抜けたスキルを持ち、X-Games、US OPEN、THE ARCTIC CHALLENCE、X-Trail Jamなどで数々のタイトルを手にしています。
また、自ら今までにないバックカントリーを舞台としたフリーライディングイベントを開催したり、スノーボードムービーの概念をぶち破るスケールとクオリティの映像作品「ART OF FLITHT」をリリースしたりと、我々の想像をいつもはるかに越え、スノーボードの可能性を拡大し続けています。前作から4年の時を経て、今秋には最新作「THE FORTH PHASE」を発表するトラビス。
またしても世界中が彼の作品に震撼させられることだろう。


1980年代から現在まで、スノーボード界をリードしてきた数々のレジェンドたち。彼らの存在なくして、今のスノーボードがないことは間違いないでしょう。レジェンドたちは、つねにシーンに新しい風を吹かせ、我々を熱狂させてきました。そんな彼らのスタイルはどんなにライディングが進化しても色褪せることなく、リスペクとされ続けます。普段楽しんでいるスノーボードの歴史を改めて振り返ってみると、改めてレジェンドたちの偉大さを感じ、よりスノーボードが面白くなるはずです!

Writer
Makiko Kishino
Makiko Kishino ライター・エディター

白馬でスノーボードショップを営む、元スノーボード誌編集者のフリーライター。
田舎ライフをマイペースに満喫しながら、とことん遊びを追求しています。

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