アクションカメラが世に出始めて、10年近くが経とうとしている。
最初は一部のガジェット好きが好奇心を満たすために使っていたが、現在では一般客にも浸透し、ゲレンデでもよく見かけるようになった。
ネット通販や家電量販店を見てみると、多種多様なアクションカメラが販売していることがよくわかり、特にネット通販では安価な中華製のアクションカメラの人気が目立つ。
今回は、仕事柄多くのアクションカメラを使ってきた私が、今までの経験を振り返り、スキーやスノーボードで使用する目的でのアクションカメラ選びのポイントについてご紹介していこうと思う。
多すぎる選択肢の中からベストなアクションカメラを選んで頂くために、本記事をお役立ていただければ幸いだ。
Contents
重要ポイント1:手ブレ補正はついているか?
スキーやスノーボードで使用するのであれば、この機能は重要だ。
手ブレ補正にもいろいろと種類があるのだが、一般的には物理的に手ブレを補正するのと、デジタル技術で手ブレを補正する方法の2種類に分類される。
物理的な手ブレは、カメラ内部のレンズ等を微調整させることで手ブレを相殺する技術なのだが、この技術はSONYのお家芸ともいえる技術だ。そのため、他のメーカーでは類似している技術はあるにせよ、SONY程の手ブレ補正を実現できているメーカーは少ないとされている。
2つ目のデジタル処理は、コンピュータによる画像処理で、手ブレを補正するもの。この補正技術はメーカーによって性能がかなり違う。有名メーカーのものと安価なものでは性能差は大きく、『名ばかり手ブレ補正』といわざる得ないものも中には存在する。
この手ブレ補正機能については、感覚値に頼るところが多いので、カタログスペックにも表すことができないのが現状だ。『ウチの製品はちゃんと手ブレ補正しますよ』とメーカーが行ってしまえば、手ブレ補正機能付きとして販売できてしまう。例えそれが実用に耐えられないような代物でも、だ。
追い撮りをメインで使用する想定であれば、自ずと高速移動に耐えられる仕様でなくてはならない。そのため手ブレ補正機能はしっかりとしたものを選ぶようにして頂きたい。光学式(物理的な)手ブレ補正機能がついているカメラはその構造上大きなサイズになりがちだが、そのぶん安定して高画質の動画を撮影することができる。
デジタル処理のカメラはコンパクトサイズなものが多いが、性能差がはげしいので、実際に使用している人の口コミを信じるか、実績のある有名メーカーのものを選ぶようにした方が良い。
重要ポイント2:モニターはついているか?
アクションカメラを自撮り棒で使用したり、ヘルメットに装着して使用する方が多いと思うが、注意して頂きたいのは『思ったように撮れていなかった』現象。
トラブルで多いのが、『画像にヘルメットの一部が写っていた』とか、『レンズに水滴がついていた』などの映り込み問題。
スマホカメラであれば、すぐに気付けて対処もできるのだが、モニターを確認せずに操作するアクションカメラでは対処が難しい問題だ。
メーカー側もこのユーザーの声には対処しており、ここ数年で販売されたモデルにはモニター付きの商品が目立つ。
スキー・スノーボードで使用する場合には、本体にモニターが取り付けてあるものより、本体とモニターが別になっているモデルがおススメだ。というのも、アクションカメラを使用する際に、いちいち本体のモニターをチェックするのは手間なのだ。特にヘルメットやゴーグルに装着している場合、『ヘルメットを外して、モニターチェックして、もう一回ヘルメットつけて、さぁ出発♪』などと悠長なことをしているうちに、仲間はさきに出発してしまう。できれば、手元のモニターで簡単にチェックし、ゴミや余計なものが映り込んでいないか、時間をかけずに確認できるようにしたい。
重要ポイント3:使い勝手の良いデザインか?
全てのアクションカメラがスキー・スノーボードの使用を想定して設計されているわけではない。基本的には防塵防水設計であるのみなので、分厚いグローブを着けての操作まで考慮にいれていないケースもある。『でも、製品紹介では、スノーボードしながら使っている写真があったよ』という意見もあると思うが、それは、『製品性能的に寒冷地や雪国での使用にも耐えれる』と言っているだけで、『グローブ着けてても使い勝手良いですよ』という解釈はできないのだ。
カメラを購入する際は、実際に店頭で手袋(スキーグローブを着用するのは恥ずかしいだろうから)を着用した状態で録画・停止の操作をしてみて、違和感なく使えるモデルを選んで頂ければ問題ないだろう。
あと、カメラ本体にモニターがなく、無線でスマホと連携させてスマホの画面をモニターかわりにするタイプのカメラもあまりおススメしない。理由は簡単で、使い勝手が悪すぎるからだ。
先に説明した、ヘルメットのくだりと同じで、『カメラのスイッチ入れて、グローブ外して、スマホ取り出して、無線連携させて、画像チェックして、スマホしまって、グローブはめて、さぁ出発!』などとやっている間に、仲間は遥か彼方に行っていることだろう。
そもそも、寒冷地でもあるゲレンデでいちいちグローブ外さないと使えないカメラなど使い勝手悪すぎて、お荷物になってしまう。
重要ポイント4:大きすぎないか?
『超高性能だけど、重くて大きい』『テレビ撮影にも使えるハイグレードなアクションカメラ』というカメラを先日ゲレンデで拝見した。某国からきた外国人(富裕層)の方が持っていたものなのだが、とにかく重かった。私が所持しているGoProの倍はあるのでは?と思う位の重量で、『コレ、なににつかうの?』と聞くと、『大型のドローンにつけたり、バイクに設置したりするんだ。カメラ本体の重量で安定感も増すんだぜ』と自慢げに語っていた。
スキー・スノーボードで使用するには、自撮り棒で撮影するか、ヘルメットやゴーグルに装着するかのどちらかになるが、さすがに重すぎるとどちらにも対応できない。
高画質で録画できるのは良いが、そもそも使い勝手が悪ければ、撮影するきにもなれなくなる。カメラの重さは、バッテリーやハウジング(カメラにつける防水ケース)を装着した状態で120g以下になるようなモデルを選ぶと良いだろう。
重要ポイント5:マイク位置は適切か?
アクションカメラで撮影した映像を後で確認し、風切り音がうるさかった経験がある。撮影まえに画像チェックし、余計なものが写り込んでいないか確認したうえで撮影したのだが、撮影中の音までは考慮に入れていなかった。
知人にその話をすると、皆同じような経験をもっており、初期の頃に発売されたアクションカメラを使用している人に特に多かった。
これは、カメラのマイクが前面に取り付けられている場合に散見される現象で、物理的にマイク穴をスポンジなどで覆うか、音を切るかしないと対処できない問題なのだとか。
さすがに、風切り音までは店頭で確認しようがないので、この辺もユーザーの口コミなどで、実際の使用感を確認してみるしか方法はなさそうだ。
しかし、有名ではないメーカーのカメラでは同じような使用状況での口コミを探すのは難しいと思う。そのような時は、マイク穴に注目して頂くのが良いだろう。カメラ前面にマイク穴が配置され、マイク穴が大きく(0.7mm位)カバーが何も無い状態であれば風切り音が入る可能性がある。ハウジングを装着した際にその穴が隠れるようであれば問題ないが、穴が大きくむき出しのものは、高い確率で雑音が入ってしまうので注意が必要だ。
おススメのアクションカメラはなにか?
実際にゲレンデで使用してみて、『間違いない!』と思ったカメラをご紹介しよう。
SONYのアクションカム(アクションカムはSONYの登録商標)ラインナップのなかで中堅を担うモデル。最上位モデルのFDR-X3000/X3000Rもあるが、こちらは4Kに対応したハイスペックカメラだ。
4Kはたしかに美しい画像を録画することができるのだが、現時点では対応しているメモリーカードが高価で、バッテリー消費も激しい。そのため、頻繁にカードとバッテリー交換をしなくてはならないので、オンスノー環境には向かない。
ワンランク上の物理的な手ブレ補正『空間光学手ブレ補正』を搭載しており、映像の安定感は他のモデルより一歩リードしている。
よくライバル機として比較されるGoPro HERO7に比べると大きさが目立ってしまうが、使用感としては全く問題無いレベルなので、強くおススメできるカメラだ。
『アクションカメラ欲しいなら、GoPro買っておけば問題ない』と言い切れるほど、おススメできるカメラ。
元祖アクションカメラとして、多くのメーカーもお手本とするデザインと操作性・機能性で現在もマーケットの中で強い存在感を出している。
ユーザーの意見を反映させ、特に使い勝手をブラッシュアップした本機は、音声で録画を開始したり、ハウジングなしでもオンスノーで使用できる耐久性など、使い勝手を大幅に向上させた。
また、電子式の手振れ補正機能『Hyper Smooth』は光学手ブレ補正にも匹敵する補正性能を発揮し、高速で追い撮りしていても違和感ない映像を撮ることができる。
こちらは上記2つのカメラとは違い、より使用用途を広げ、遊び心を追求したモデル。
超広画角のd'Action360は360度撮影することが可能で、専用アプリとVRゴーグルを使用することで、撮影した映像をパソコン編集なしでVR動画として楽しむことができるカメラだ。
本来は、車載カメラとして車の中で使用するのだが、防滴ケースを着用することでオンスノーでも使用が可能となる。
通常のアクションカメラと比べると、性能的には劣ってしまうし、重量もある。しかし、360度の広画角とVR機能という遊び心満点の機能は他では味わえない楽しさを作り出すことができるだろう。
元スノーボードインストラクターのIT系Webライター
長野や北海道、マウントフッド(アメリカ)、ウィスラー(カナダ)等
様々なスキーリゾートを転々とした後、東京に落ち着く。
現在はWeb制作を行う傍ら、スノーボード系のライティングを行う日々。
妻と娘の3人家族の35歳。
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