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懐石料理とは?歴史から楽しみ方、マナーまで徹底解説

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174 views 2024-10-21 UPDATE

季節の移ろいを五感で味わいながら、伝統的な日本食を堪能できる「懐石料理」をご存じですか?

日本の美しい食文化を体感できる懐石料理は、一度は経験する価値のある料理です。

この記事では、懐石料理の奥深い歴史や、楽しみ方のポイント、マナーを詳しく解説します。

さらに、東京と京都でおすすめの懐石料理のお店を2店ずつ紹介するので、参考にしてください。

懐石料理とは?

懐石料理は、長い歴史と高い格式を持つ日本料理の一つです。

もともとは、茶会で濃茶をいただく前に出される簡素な料理で、茶の湯の文化における「侘び寂び(わびさび)」の精神を大切にしています。

お茶の味を邪魔しないよう、味付けは薄味で、見た目もシンプルかつ質素です。

しかし、旬の食材を使い、季節感を味わえるよう工夫されています。

また、懐石料理に似た言葉として、「会席料理」と「京懐石」があります。

会席料理は、お酒を楽しむための宴会料理で、現代では接待やお祝いのときに利用されることが一般的です。

京懐石は、京都で発展した懐石料理の一種で、精進料理や伝統的な家庭料理であるおばんざいの影響を受けています。

懐石料理の歴史

懐石料理は、お寺の僧たちの質素な食事と空腹時の行動が起源とされています。

安土桃山時代(1568〜1600年)の修行僧たちは、1日に1回しか食事が許されておらず、空腹をしのぐために、懐(お腹)に温めた石を抱いていたことが「懐石」という名の由来です。

当初の懐石料理は、修行僧向けの厳格な料理でしたが、茶人として名高い千利休が、庶民でも楽しめる茶会用の料理へと変えました。

これにより、僧侶以外にも食べやすい、簡素でありながら品格のある茶会料理として提供されるようになり、現在でも多くの人々に愛される日本料理の一つとなっています。

懐石料理の一般的なコースの流れ

懐石料理の主なコースの流れは以下のとおりです。

  1. 折敷(おしき)
  2. 椀盛(わんもり)
  3. 焼き物
  4. 強肴(しいざかな)
  5. 吸い物
  6. 八寸(はっすん)
  7. 湯桶・香の物(ゆおけ・こうのもの)
  8. 主菓子・濃茶(おもがし・こいちゃ)

懐石料理の献立は「一汁三菜」が基本で、コースの最初は飯と汁を提供するのが特徴です。

折敷では、「飯」「汁」「向付(むこうづけ)」が一つのお膳にまとめられます。左側にご飯、右側に汁物、奥に向付を配置するのが一般的なスタイルです。

懐石料理のメインともいわれる椀盛は、大きめのお椀に季節の野菜や肉、魚などを使った吸い物が提供されます。

旬の魚を使った焼き物では、季節感を楽しめることが特徴です。

強肴は「強いてもう一品すすめる肴」という意味があり、一汁三菜では物足りない場合に頼む一品を指します。主に、和え物や揚げ物など、お酒に合う料理が多い傾向にあります。

お口直しのタイミングで出される吸い物は、さっぱりとした味付けが特徴です。梅肉を落とした白湯や昆布だしなどが提供されます。

八寸は吸い物までのお皿がすべて空になってから運ばれます。「酒を交わすための肴」という意味を持ち、お酒を楽しむための料理です。八寸の由来は、料理が盛り付けられるお皿のサイズが一辺約24cmの八寸皿であることから来ています。

湯桶・香の物が提供されると、懐石料理のコースも終盤に差し掛かります。湯桶(ゆおけ)は、煎り米とお湯が注がれ、程よい塩味が特徴です。これに数種類の漬物が添えられ、食事の締めくくりを優雅に飾ります。

最後に、和菓子やシャーベット、季節の果物などの甘味が登場し、懐石料理のコースが締めくくられます。店舗によっては、濃茶が供されることもあり、食事の終わりに心地よい余韻を残してくれるでしょう。

懐石料理を楽しむためのポイント

懐石料理を楽しむためのポイントを3つ紹介します。

五感で味わう

懐石料理は五感を通して味わうことで、美味しさや気配り、そしてその楽しさをよりいっそう実感できます。

  • 視覚:盛り付けや色合いの美しさ
  • 聴覚:歯ごたえによる食材の音
  • 味覚:繊細な味の調和
  • 嗅覚:香りで料理のイメージを膨らませる
  • 触覚:料理の舌触り、器と料理の温度の一体感

器と料理の取り合わせ

懐石料理では、使用される器の絵柄と旬の食材が一致していることが多く、季節感を味わえます。

料理だけでなく、食器を通じて季節を感じられるのも懐石料理の特徴です。

部屋との一体感

料理と器の季節感の一致だけでなく、部屋に飾られている掛け軸やお花も季節に応じて変化します。

料理、器、そして部屋全体の一体感によって、視覚的にも季節の移ろいを楽しめます。

この取り合わせが、懐石料理を特別な体験へとさらに深めてくれるでしょう。

懐石料理のマナー

懐石料理を楽しむためには、マナーを知っておくことも大切です。

礼儀正しい振る舞いが、料理をよりいっそう引き立てるための重要な要素となります。

京懐石の食べ終わった合図

京懐石の場合、食べ終わったら軽く蓋を開けておくか、左側に器ごと寄せることで、食べ終わった合図として認識されます。

フレンチやイタリアンでの食べ終わりの合図と同じく、ナイフとフォークを右側に揃えておくテーブルマナーに似たイメージです。

このような合図を知っておくことで、よりスムーズに食事を楽しめます。

ドレスコード

懐石料理のドレスコードは、スマートカジュアルのお店が多い傾向にあります。

女性であれば、ワンピースやジャケットスタイル、セットアップなどが日本では一般的です。

男性は、ジャケットにパンツスタイルが無難です。

ジーンズやハーフパンツ、サンダルなどはスマートカジュアルに不相当なので、避けるようにしましょう。

また、懐石料理では香りを楽しむことも醍醐味の一つなので、香水も控えたほうが安心です。

畳の部屋の場合、靴を脱ぐため、脱ぎやすい靴や清潔なソックスを着用することを忘れずにしましょう。

チップは不要、代わりに言葉を

懐石料理店では、丁寧なおもてなしと上品な日本食が堪能できますが、チップは必要ありません。

ミシュラン星を獲得するような高級店であっても、チップの習慣はありません。

もし、サービスに満足された場合は、「ごちそうさまでした、美味しかったです。」と一言添えるだけで、最高の褒め言葉になります。

この言葉には、感謝の気持ちが込められており、心からの評価として受け取られます。

東京でおすすめの懐石料理

東京で本格的な懐石料理を楽しみたい方におすすめの2店を紹介します。

懐石料理 はし本(Hashimoto)

 

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カウンター席では、目の前でシェフが調理してくれるため、日本料理の技術を間近で楽しめます。

料理に関する知識も自然と身につき、四季折々の旬の食材を使った料理を堪能できるのも魅力です。

所在地 〒103-0023 東京都中央区日本橋本町2丁目3-6 協同ビル1F
ドレスコード なし
公式HP なし

懐石 辻留(Tsujitome)


懐石料理に革新をもたらした千利休を祖とする裏千家の家元から学んだ知識と技術が、代々受け継がれている老舗の懐石料理店。

明治35年(1902年)創業以来、3代にわたって伝統を守りながら、その味を磨き続けています。

さらに、ミシュラン1つ星も獲得している名店として、多くの美食家から高い評価を受けています。

所在地 〒107-0051 東京都港区元赤坂1-5-8 虎屋第2ビルB1
ドレスコード なし
公式HP 懐石 辻留

 京都でおすすめの懐石料理

京都で本格的な懐石料理を楽しめるおすすめの2店を紹介します。

京懐石 吉泉(Kichisen)


ミシュランで2つ星を獲得し、過去には6年連続で3つ星を受賞した経験を持つ名店です。

また、ニューヨークタイムズにも紹介されたことがあり、その名声は国内外に広がっています。

料理はもちろん、食器や盛り付けも印象的で、見た目から楽しませてくれます。

その場でしか味わえない特別なひとときを提供し、贅沢な時間を過ごせるでしょう。

所在地 〒606-0805 京都府京都市左京区下鴨森本町5
ドレスコード なし
公式HP 京懐石 吉泉

木山(Kiyama)

 

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ミシュラン1つ星を獲得している木山は、内装に上品な日本文化が息づくシンプルなデザインが特徴です。

カウンター席では、目の前で料理が提供され、五感で楽しめます。

現代の忙しい生活から一歩離れ、心が落ち着く贅沢なひとときを味わえる空間です。

所在地 〒604-0804 京都府京都市中京区絹屋町136 ヴェルドール御所1F
ドレスコード スマートカジュアル、香水NG
公式HP 木山

まとめ

懐石料理は、繊細な技と季節感を通じて日本文化を存分に感じられる魅力的な料理の一つです。

ポイントを押さえたマナーで味わうことで、さらに特別な楽しさを体験できます。

日本を訪れた際には、ぜひ本格的な懐石料理を堪能し、心と体を癒す贅沢なひとときを過ごしてみてください。

Writer

北海道から沖縄まで、国内各地のリアルな観光情報を発信中。
穴場スポットやアクティビティをはじめ、その土地の文化・歴史・グルメなどの魅力を、地元ライターならではの視点でお伝えします。

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