子供のスポーツ系習い事といえばスイミングやサッカー、野球、ダンスなどが定番ですが、東京オリンピックでの競技採用や10代スケーターの活躍により、スケートボードに興味を持つ子どもが増えてきました。
以前は親がスケーターでなければなかなか子どもがスケートを始めるキッカケがなかったように思いますが、最近は”スポーツ”としてスケートの一般認知度が上がったのと共にさまざまな情報を得る方法やスケートに触れられる機会も増え、「子どもをスケーターにしたい!」という親も増えているようです。
そこで本記事では、筆者の子育て経験に基づくキッズスケーターを上手に育てるためのヒントをお伝えします。
Contents
「カッコいいスケーター」のイメージを共有する
憧れは何をするにも一番のモチベーション!
スケートをはじめるキッカケが本人の希望or親の希望に関わらず、「こうなりたい!」もしくは「こうなってほしい!」というイメージを親子で共有することはとても大切です。
スケートボードを始めるにはデッキやプロテクター類などの道具一式を揃える必要があるし、パークを利用するにも親の力(お金や送迎)が不可欠です。とはいえ実際にスケートに乗るのは子どものほう。つまり、どちらか一方の熱だけでは成り立ちません。
スケートを始めるにあたり、実際にスケートってどんなスポーツなのか、どんなカルチャーなのかを一緒に理解し、「こんな風になれたらカッコいいよね!」を共有しましょう。
そのためにできることは、
動画や映像を一緒にチェック
プロスケーターの動画や大会などの映像を一緒に見て、「イエ〜イ!」となる時間を作ること。
子供がそれほど興味を抱いていなくても、親が「ねえ、これスゴくない!?」と高度なトリックを繰り出す姿やハイエアを決めるシーンを見せたら、ほとんどの子どもが「何これ、スゴい!」となるはず。口で「スケートやってみよう」というよりも何倍も効果的です。
逆に子供がスケートをやってみたいと言い出したものの、親のほうがあまりピンときてない場合には、同世代のキッズスケーターの映像をチェックしてみるといいでしょう。世の中には幼いながらもスケートをカッコよく乗りこなすキッズ達がたくさんいるんです。
本物のスケーターを見せる
できればスケートパークやスケーターが集まる公園などに足を運んで生のスケーターを目で見れば、よりイメージが湧きやすくなります。プロスケーターの映像のように実際には誰しもが超絶トリックを決められるわけではありませんが、地道に練習して汗を流すスケーターの姿はやはりカッコいいものです。時に転んで苛立ったり、技をキメて仲間とハイタッチしたり、リアルなスケーターの姿とその場の雰囲気や空気感を親子で一緒に体感することは、これからスケートを始める子供にとってとても刺激的な経験となります。
子供のやる気を育むために親ができること
何にでも共通して言えることですが、いかにやる気をキープできるかが上達に大きく関わります。
ですが、誰にでもモチベーションのアップダウンはあり、まだ精神的にも幼い子供にそれを自分でコントロールさせるのは至難の技。ここで、子供のやる気を引き出せる親になれるかどうかが、子供の今後を大きく左右することになります。
そこで、親が気をつけるべきポイントを2つあげます。
他の子供と比べない
子供の性格や運動能力、バランス感覚はもちろん、上達スピードも人それぞれ。
だから周りと我が子を比べることはナンセンスです。
誰もが慣れれば当たり前のようにできるようなことも、子供にとって最初はものすごい大きなチャレンジだということを理解しましょう。はじめて不安定なデッキの上に両足を乗せることも恐怖心があります。「怖い」と感じている子供には「頑張れ」と鼓舞するよりも手を貸してあげ、徐々に恐怖心を拭ってあげたいものです。
他の子と比べ「あの子はあんなに上達している」とプレッシャーをかけるよりも、その子のちょっとした成長をとにかく褒めてあげてください。
何かに捕まらないとデッキに立てなかったのがひとりで乗れるようになった、キックを使ってノーズを少し浮かせることができるようになった、なんでもいいので頑張って一歩ずつ成長していく姿を見逃さず、しっかりと褒めてあげることが、なによりも子供は嬉しいはずです。
ブランク中には口出ししない
スケートを続けていると、必ず壁に当たる時がやってきます。それまでは順調に上達してきたのになかなか前に進めない、できていたトリックも失敗する、やる気がでない、といった具合にブランクに入ると何をやっても上手くいかなくなってしまいます。
本人のモチベーションが下がり、スケートに乗る時間が減ってきたなと感じても、無理にスケートに乗せようとすることはオススメしません。気が乗らない時に無理やり練習をさせても怪我のもとです。
そんな時は外野から口を挟むのではなく、しばらくスケートから離れている時間をそっと見守ってあげましょう。
スケートに乗らずに過ごす時間が続くと、また自分から乗りたいと思う時がやってくるはずです。
時間をおいてもなかなかまたスイッチが入らない時は、「ちょっとスケートの乗り方教えて」と頼んでみるのも手です。
あくまでも子供に練習をさせたいからスケートに乗せるのではなく、自分が教えてもらいたいというスタンスが大切。
親もなかなかできずに苦戦する姿は子供にとってなかなか見ることのできない貴重な姿のはず。「こんなに難しいんだね」「すごいね」と普段の子供の努力を褒めてあげ、自信を持たせる声かけを忘れないでください。
キッズ用スケートの選び方
キッズ用のスケートと一般的なスケートとでは、デッキサイズやウィールサイズが違います。子供が大人のスケートに乗ることはできますが、体重の重さや足のサイズが異なるので、トリックをするならしっかりと体型に合ったものを選ぶことが大切です。キッズはパーツの種類や取り扱いも少ないので、はじめの1台はコンプリートセットで考えてみるのも手です。
デッキサイズ
通常のスケートのデッキサイズは、太さが7.5〜8.5インチ、長さ31インチというのが一般的ですが、キッズ用は7.5以下になります。足の大きさを目安にすると、下のようになります。
〜18cm / 6.875″
19〜20cm / 7.25″
21〜22cm / 7.25″ 〜 7.5″
23cm / 7.5″ 〜 7.75″
24cm / 7.5″ 〜 7.875″
およそのイメージは幼児〜小学校低学年 7.0インチ以下、小学校低・中学年 7.25インチ、小学校中・高学年 7.5インチくらいです。
トラックサイズ
余っているスケートパーツがあればそれを流用したいところですが、キッズはデッキ幅が狭いためトラックも幅の狭いものを選ばなければウィールがデッキからはみ出してしまうので注意が必要です。
INDEPENDENTのサイズ109や129、VENTUREの5.0などが7.5インチ以下のデッキに対応します。
ウィールサイズ
ウィールサイズも大人よりもちょっと小さめの52〜53mmがキッズによく使われます。
主にパークや屋内施設など路面が綺麗な場所で練習するなら100A前後のハードウィール、家の周りや荒れた路上で乗るなら柔らかめのソフトウィールを選んであげるといいでしょう。
またベアリングも始めのうちは回りすぎないABEC1〜5くらいのものにしておくと安心です。
おすすめキッズ用デッキブランド
キッズ用のスケートはオモチャ屋やスポーツ用品店、インターネット上でもさまざまなノーブランド品や安いものが売られていますが、本気でスケートに取り組むのであれば、それなりのスケートブランドのキッズモデルを選びましょう。
使われているパーツなど信頼性の高いものを選ぶことで、上達をサポートし怪我のリスクを減らすこともできます。
Enjoi
上目使いのパンダが有名すぎる、ポップなアートワークが人気のスケートブランド。
スケートにとってもっとも大切な「楽しむ」がブランド名になっている。キャッチーでカラフルなデッキデザインがキッズのやる気をアップしてくれるかも!
Blind
伝説のスケーター、マーク・ゴンザレスが所属していた VISION から離脱し、反対の意味を持つネーミングで立ち上げたブランドがBLIND SKATEBOARDS(ブラインド スケートボード)。デッキグラフィックはポップでカラフルながらも甘すぎないのでクールに持ち運べる。
Almost
フリースタイルの神と言われるロドニー・ミューレンと長年トップスケーターであり続けるデーウォン・ソングが2003年に立ち上げたカリフォルニア発のデッキブランド。デッキのクオリティ向上、開発に精力を注ぎ、新技法をふんだんに盛り込んだギアはパフォーマンス性が高い。国内でも人気の高いプロスケーター、クリス・ハスラムも在籍する。
ANTIHERO
渋みのあるイーグルマークがトレードマークのハードコアスケーターのためのブランドANTIHERO。そんなANTIHEROにも大人顔負けのキッズ用デッキやコンプリートがラインナップ。ちょっと尖った男気溢れるスケーティングを目指すなら!
プロテクター類の装備は徹底する
最後になりますが、子供にスケートをさせるにあたって怠ってはいけないのが、必ずプロテクターをさせるということ。
硬いコンクリートや路面で行うスケートボードにはケガのリスクも伴います。「ちょっと家の前で乗るだけだから」「まだたいして乗れないから」と子供を無防備でスケートに乗せて後悔することだけなないようにしてください。子供の骨はまだ柔らかいので、ちょっとした転倒で簡単に折れてしまうこともあります。
“スケートに乗るときは必ずヘルメットとプロテクター(手首、肘、膝)をつけること”
を最初からルール化しておけば、子供も習慣化しやすいでしょう。
「邪魔だから」「暑いから」とプロテクターを嫌がる子供もいますが、ちゃんとつけないならスケートには乗せないという厳しい態度を徹底することが重要です。
では、親子で安全に楽しくスケートのある毎日を楽しんでください!
白馬でスノーボードショップを営む、元スノーボード誌編集者のフリーライター。
田舎ライフをマイペースに満喫しながら、とことん遊びを追求しています。
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