2018年シーズンも終わりを迎えようとしている。
この記事をお読みの方の中には、すでにシーズンアウトされた方もいるだろう。
シーズンアウトされた方に伺いたいのだが、シーズンアウト後に道具をどのように管理・保管しているのだろうか?
『一応、乾かしてビンディングを外してからスノボバッグにしまっておく』
『クリーニングワックスくらいはかけておくけど、それ以外はやらない』
『面倒だし、滑ったあとの状態で次のシーズンまで放っておく』
など様々な管理方法があると思う。
もし貴方が次のシーズンも良い状態の板で滑走したいと考えているのであれば、専門店でのチューンナップをお勧めしたい。
チューンナップ専門店では、専門的な視点から板の状態を判断し適確なメンテナンスを施してくれる。
今回の記事では、専門店でのチューンナップについてご紹介していこう。
今回取材にご協力いただいたのは、東京は神田神保町に店舗を構えるONE MAKE TUNEUP SHOP(以後O.M.T.S)だ。
経験豊富なサービスマンがプロの視点と技術力で納得のいく状態に仕上げてくれる頼もしいお店だ。
神田のスノーボード街にあるので、買い物のついでに是非とも立ち寄って頂きたい。
チューンナップの必要性と効果
乾
チューンナップとはどのような事を指すのでしょうか?
O.M.T.S
簡単なワクシングもチューンナップと言いますし、滑走面の修理や調整もチューンナップと言います。
メンテナンスや修理という意味も相称してチューンナップと言って良いと思います。
乾
チューンナップはどのような方を中心に利用されているのでしょうか?
O.M.T.S
当店では初級者の方が多いですね。
プレチューンと言われる、新品の板に施すチューンナップを希望される方が多いですね。
乾
プレチューンとは、どのようなサービスなのでしょうか?
O.M.T.S
当店では、プレチューンという名前のメニューは無いのですが、一般的には下記の工程を含む物がプレチューンと言われていると思います。
・滑走面のサンディング(専用機械による削り出し)
・ストラクチャー入れ
・エッジ調整
・ワクシング
大体の場合、店頭に置いてある新品の板=工場出荷時の状態 となります。
工場出荷時の段階ではチューンナップされた状態ではなく、『チューンナップしなくても滑れる状態』程度の状態とお考え下さい。
そこで、本来の性能で滑りたい人はプレチューンと言われるチューンナップが必要になってくるというわけです。
乾
なるほど、工場出荷時の状態がベストな状態という認識でおりました。
ということは、新品の板を買ってもすぐに滑らない方が良いのでしょうか?
O.M.T.S
いえ、滑れない事はないですし、メーカーも『使用して問題ないレベルで仕上げている』と言っていますので、特段問題は無いです。
先ほども説明しましたが、あくまでも『本来の性能で乗りたい方は。。。』ということです。
乾
最初からその状態で出荷してくれればいいのに。。。。
なんで、工場出荷時にチューンナップしないのでしょうか?
O.M.T.S
後ほどお見せしますが、滑走面をサンディングする工程は結構手間がかかりますので、製造コストに跳ね返ってきてしまうのです。
製造コストが高ければ、最終的に製品の販売価格に上乗せされますので、結果的にはお客様が負担するような形になってしまうわけです。
とはいえ、メーカーも『滑れない状態の板』を出荷しているわけではないので、その辺はお客様の好みになってくるのではないでしょうか。
乾
新品の板ではなく、ある程度使用した板についてはチューンナップの必要性はあるのでしょうか?
O.M.T.S
ある程度滑っていれば、何かしらのダメージは滑走面につきます。
滑走面にダメージが残ったままで使用し続けると徐々に滑走性能が悪化しますので、定期的にチューンナップすることは効果的ですね。
滑走性能が悪化していることに気が付かないまま滑り続けるのは技術向上の妨げにもなりますし、緩やかな斜面で止まってしまうことだってあります。
乾
『滑走面のダメージ』という言葉についてご説明頂けますでしょうか。
これは『滑走面がめくれてしまったり、へこんでしまう』というようなことを指すのでしょうか?
O.M.T.S
そうですね、概ねそのような『見えるダメージ』とご理解頂いてよいかと思います。
目に見えるキズについては、滑走面を削ることである程度は改善させることが可能です。
深刻なダメージの場合でも、補修材を使用し、修復可能な場合もあります。
乾
チューンナップ後は新品同様の乗り心地になるのでしょうか?
O.M.T.S
いえ、新品同様にするのはほぼ不可能とお考え下さい。
といいますのも、我々が行えるチューンナップは滑走面やエッジに限るという事です。
スキーやスノーボードは木材やポリエチレン(滑走面)、ステンレス等の金属(エッジ)、エポキシ(接着剤)など様々な材料の混合製品です。数年も使っていると、それぞれの材質に劣化が生じてきます。
この劣化のことを、総じて『ヘタり』というのですが、チューンナップではヘタりについては修復できないとお考え下さい。
おススメのチューンナップコースと時期
乾
チューンナップといっても色々なメニューがあると思うのですが、ご紹介頂けますか?
O.M.T.S
下記が主なメニューです。
・エキスパートコース:¥15,000
内容:サンディング+ソールリペア+ストーンフィニッシュ+手作業エッジ研磨+ワックスフューチャー
エッジ角度や、ストラクチャーの指定が出来るフルオーダーコース
・ノーマル手仕上げ:¥12,000
内容:サンディング+ソールリペア+ストーンフィニッシュ+手作業エッジ研磨+ホットワックス
エッジ角度の指定が出来るコース。ストラクチャーはお店のおまかせ。
・ノーマル機械仕上げ:¥9,000
内容:サンディング+ソールリペア+ストーンフィニッシュ+エッジ研磨+ホットワックス
エッジ研磨は機械仕上げ、ストラクチャーはお店のおまかせ。
・ワックスフューチャー:¥5,000 & ¥7,000の2種類
■ワックスフューチャーとは
80℃以下の温度で滑走面に赤外線を照射し、板の内部から加熱させ、ワックスをより高く浸透させるマシンのこと。
ホットワクシングより時間をかけ浸透させることで、長時間の滑走性が実現できる。
¥5,000コースは3往復を2セット ¥7,000コースは5往復を2セット
その他にも単体オプションで様々な要望に応えることが出来ます。
また、時期によってメニューが変更されますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
乾
はじめてチューンナップを利用する方で、中級者レベルの方であればどのメニューがおススメなのでしょうか?
O.M.T.S
まずはノーマル機械仕上げをお試し頂きたいですね。
あとオプションでワックスフューチャーを追加することをおススメしています。これは本当に効果ありますから。
しかし、まずは店頭で板を拝見させて頂きたいですね。実際に使用する方のレベルとスタイルによっても色々と変わってきますので。
乾
プロに直接相談できるのが心強いですね。
因みに、チューンナップに出す最適な時期はいつ頃なのでしょうか?
O.M.T.S
ワックスフューチャーのみでしたら、当日でのお渡しも可能です(込み具合にもよるので、要事前確認)。
サンディング等の作業がはいると数日お預かりする形になりますので、その際はシーズンアウトした後が良いかもしれませんね。
『もうこの板は今シーズン使わない』という状態であれば、数日かかっても支障はないと思いますので。
しかし、シーズン直前若しくはシーズン中での受付には注意が必要です。
その時期は結構込み合う事があり、最悪『乗りたい日に間に合わない!』というケースもありますので、5月~10月の間でご利用頂くのがよいかと思います。
チューンナップの流れ
【チューンナップ前の板】
4シーズン酷使した、私愛用の板。
大小様々なキズが目立つ。
【サービスマンによる診断】
簡単なヒアリングをもとに、チューンナップメニューを決める
ちなみに、熟練のサービスマンレベルになると滑走面を見ただけで、その人の滑走技術やクセがわかるそうだ。
乾『因みに、私の滑りってクセあります?』
店『乾さんね、、、ちょっと変わった滑り方してるよねw ヘタじゃないけど』
だそうだ。。。。 精進せよということなのだろう
【サンディング】
専用の機械で滑走面を削る。
次の工程では新しいストラクチャー(クロス)を入れてもらった。
【ソール修復】
サンディングで消えないキズは彫刻刀で削った後にホットジェットという補修材で修復する
【ワクシング】
ワックスフューチャーでじっくりと内部までワックスを浸透させる。
しっかりとベースワックスが入り込むため、滑走性能が長時間維持できるということだ(写真右)
【チューンナップ後】
これはすごい。
滑走面にツヤがもどり、キズがほとんど消えた。
うっすらと見える模様がストラクチャーだ。
エッジも鋭く削られ、素手で触ると危険な程だ。すげぇ、プロの技!
取材を終えて
乾
仕上がりがすごいですね。本当にキレイです。
正直感動してます。
O.M.T.S
あ、、ありがとうございますw
良い状態にしておいたので、来シーズンからはきちんとメンテナンスしてくださいね。
乾
、、、じつは、まだシーズンアウトしていなくてですね。
来週滑りに行く予定なのです。。
O.M.T.S
シーズンアウトしてなかったんだw
でも、チューンナップに適した時期=シーズンアウト後 というわけではないので、全然問題ないですよ。
むしろチューンナップの効果がわかると思うので、良い機会かもしれないですね。
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今回取材にご協力いただいた、ONE MAKE TUNEUP SHOPは神田神保町の靖国通り沿いにあるチューンナップ専門店だ。
経験豊富なサービスマンが貴方の板について適格なアドバイスをくれるので、気軽に立ち寄ってみよう。
公式Webサイトはこちら
元スノーボードインストラクターのIT系Webライター
長野や北海道、マウントフッド(アメリカ)、ウィスラー(カナダ)等
様々なスキーリゾートを転々とした後、東京に落ち着く。
現在はWeb制作を行う傍ら、スノーボード系のライティングを行う日々。
妻と娘の3人家族の35歳。
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