今回はRICE28のWRXとDIVERSE7をご紹介しよう。
RICE28とは
RICE28は日本国内で製品を企画・製造・販売するドメスティックブランドだ。
いち早く『日本人のためのスノーボード作り』に着手し、日本人が日本の山で滑るのに適した製品を世に出し続けている。
扱いやすくスノーボードのレベルアップを手助けしてくれる板には定評があり、幅広い層からあつい信頼を得ている。
製品ラインナップを見てみると、**専用といった使用用途を極端に限定したモデルは見当たらず、
どの製品も オールラウンド+トリック のように1本でどのようなシチュエーションにも対応できるように設計されている。
このように、使用用途を限定せず、ユーザー目線にたった製品設計が人気の秘密なのだろう。
WRX試乗レポート
まずはWRXご紹介しよう。
今回は148.5cmのサイズを試乗した。
この板はメーカーが満を持して販売する新しいコンセプトの板である。
このWRXは、特徴的な形をしており、 短めのサイズ+柔らかめのフレックス+長い有効エッジ という設計になっている。
ぱっと見は、『短めのハンマーヘッド形状の板』という印象だ。
ハンマーヘッド形状の板というと、フリーラン・カービング向けの硬く細いイメージを持つ方もいるかと思うが、WRXはそれらの物とは少し違う。
まず、サイズは一般的なフリーラン向けの板よりも短いサイズ展開となっている。
一般的にはフリーラン向けの板は長いサイズを選ぶ傾向にあるが、WRXに関してはその逆で少し短めのサイズを選ぶことになるだろう。
WRXは長い有効エッジが特徴の板であるため、普段選ぶ板の長さより-4~5cm位のサイズを選んで頂いても全く問題ない。
(私は通常153cm前後の板に乗っているのだが、今回試乗した148.5cmでもなんら違和感なく滑走することが出来た。)
この点は従来の フリーラン向け=長めの板 という考えからは逆の発想になるだろう。
また、一般的なフリーラン向けの板は硬めのフレックスに設定されているものが多い。
それは、中速~高速域での安定性を考慮にいれた結果なのだが、逆に低速域での操作性やグラトリ・地形遊びといった細かい動きが犠牲になってしまっていた。
その点、WRXは柔らか目のフレックスを採用しているため、低速~中速域での板の取り回しが非常にやり易い。
柔らか目のフレックスだと、『高速カービング時において板が暴れてしまうのではないか』と不安に思う方もいるかと思うが、そのような心配は全く不要だ。
WRXは板の硬さで震動を抑えるのではなく、板の反発と長い有効エッジで震動を抑えるため、従来のフリーラン向けの板と遜色ない安定感を生んでくれる。
構造については公式ホームページで詳しく解説されているので、そちらをご確認頂きたいのだが、細かい話は抜きにして感心するほどの乗りやすさなので一度お試し頂くことをおススメしたい。
ゲレンデが混雑していてスピードが出せないときは、低速でグラトリをするも良し。
スピードが出せそうな状況であれば、ラントリック(注1)や大きなカービングをするも良し。
地形が楽しいゲレンデであれば、地形遊びでゲレンデを縦横無尽に動き回るも良し。
まさに、日本のゲレンデ事情とスノーボーダーにマッチした一本と言えるだろう。
注1:ビッテリーターンやリバースターンなどの高速で行うトリックのこと
WRXこんな方におススメ
何でもできる板なので、何方にでもおススメできる。
しかし、個人的におすすめしたいのが、最近スノーボードにマンネリを感じてしまってる方だ。
『グラトリもなぁ、、、飽きたしな。。』『昔はパークにいったけど、ケガのリスクもあるし』『カービングだけというのもつまらないし。。』
などと感じている方には是非とも乗って頂きたいと思う。
ここまで読み進めて頂いた方は既にお気付きかと思うが、WRXにはほぼ死角がない。本当になんでもできる優等生なのだ。
ここまでベタ褒めをすると、ステマっぽく見えてしまうので、メーカーに怒られない程度にネガティブな事も書いてみたいと思う。
個人的には、この板は滑走課題を持ったスノーボーダーかつ自制心の無い方にはおススメ出来ないと考えている。
フリースタイルから、フリーランまで用途を選ばずに何でもできるという事は解説済みだが、その何でもできるというのがキモなのだ。
滑走課題を持ったスノーボーダーとは、検定やインストラクター試験を目指しているスノーボーダーの事を指す。
(JSBAなどの検定やインストラクター試験などの合格を目指している方をイメージして頂ければ良いだろう)
滑走課題を持つ方は、加重や抜重、目線やバランスのとり方など、細かい部分を意識しながら、ターンの質を向上させる必要がある。
そのため、地味なトレーニングをコツコツと積み上げる必要があるだろう。
(一部の天才的なセンスの持ち主は一発合格してしまうのだが。。)
課題を持って滑る方は、集中して課題に対してのトレーニングを積む必要があると思うのだが、この板はその集中力を著しく低下させる危険性がある。
『今日こそはカービングの練習するぞ』と心に決めていても、この柔らか目のフレックスと取り回しのしやすい形状が地形遊びやグラトリ・ラントリックへ誘ってしまう。
(結果、地味なトレーニングに割くべき時間と体力をそちらに奪われてしまう危険性が高くなる。)
無論、自制心がある方であれば全く問題ないのだが、そのような誘惑に勝てるスノーボーダーはそう多くはないだろう。
そのような方は、あきらめて硬いカービング専用機にのって練習に打ち込んで頂きたい。
(WRXは合格後のご褒美と考えれば練習にも身が入るはずだ。)
DIVERSE7試乗レポート
今回は148cmのモデルを試乗した。
はじめて乗る板だったのだが、全く違和感は感じずリラックスして滑りを満喫することができた。
ビンディング間のトーション(ねじれ)が柔らかい設計のため、低速~中速域での操作性が抜群に良い。
柔らかいトーションではあるものの、反発力が高い構造を採用しており、回転系のトリックが非常にやり易い。
安心して乗れるため、コブ斜面や地形遊び、少しスピードを出した状態でのグラトリなど様々な場面で新たなトリックに挑戦できることだろう。
また、ノーズとテール部分の接雪面がフラットに設計されており、オーリーやノーリー、プレス系のトリックがやり易い形状になっている。
プレス系のトリックが安定して出来ると、地形遊びのバリエーションがかなり増え、今までできなかったような動きにも挑戦してみようとすら思えてくる。
フリーラン性能に関しては、多少のスピードを出したカービングでも安定して滑ってくれる。
さすがに、上級者コースを直滑降位のスピードで滑ると板がバタつく事もあるが、スピード狂の方でなければ全く問題ないだろう。
また、コース脇のパウダーや、ツリーランに入ってみたが、気持ち良く非圧雪を楽しむことができた。
取り回しのしやすい形状で、トーションが柔らかく設定されているため、細かい操作もしやすく、思った通りのラインで滑ることが可能だ。
腰まで埋まるような深い雪での滑走は不得意と思うが、ゲレンデを中心に滑る方で、コース脇のサイドカントリーに入るレベルであれば、何ら問題はないだろう。
このようにオールラウンドに使う事ができるのも、従来のキャンバー形状を踏襲した設計のなせる業なのだろう。
[RICE28のライダーが実際にのっている映像がコレだ]
DIVERSE7こんな方におススメ
パーク中心での使い方もできるし、フリーランでゲレンデを流したいという使い方にも十分対応できる。
しかし、個人的にはゲレンデでの地形遊びをメインで考えている方に強くおススメしたい。
このような扱いやすい板であれば、色々な地形を遊び尽くすことができるし、今までできなかったトリック等にも挑戦することが出来るだろう。
この板に乗れば、不思議とゲレンデ内の地形全てが遊び場に見えてくるかもしれない。
ゲレンデ内の隅々を遊びまくるフリースタイルな方におススメしたい一本だ。
今回ご紹介した板はRICE28のホームページで確認できる。
気になる方はチェックしてみてほしい。
参考記事
自分に合ったスノーボード板を探す3つの要点と有名ボードブランド
#スノーボードで使う道具元スノーボードインストラクターのIT系Webライター
長野や北海道、マウントフッド(アメリカ)、ウィスラー(カナダ)等
様々なスキーリゾートを転々とした後、東京に落ち着く。
現在はWeb制作を行う傍ら、スノーボード系のライティングを行う日々。
妻と娘の3人家族の35歳。
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