ウェーブプール”コウベレイーズ”生みの親、押部氏にフォーカス【後編】

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前編に引き続き、コウベレイーズを運営するレスポンスエンジニア代表押部氏のインタビュー後編をお送りしたいと思う。
後編ではコウベレイーズの話から飛躍し、原点となっているキングスの話も深く伺った。

スノー、サーフと来てスケートボードへの挑戦は

R/ForA(以下:R) : スノー、サーフと来てスケートパークを作る予定とかってありますか?

押部 宣広 (以下:押部氏) : 全くない。
スケートは極論どこでもできちゃうでしょ?作ったとしても、運営的に厳しそうだからね。
もし熱いスケーターがいるなら、自分たちで作ってみれば良いと思うよ。署名とか集めて。
行政とかも成功した前例とかがあれば、動いてくれると思うしね。

R : たしかに、僕の地元でも数年前にスケートパークができたんですけど、市がバックアップしてくれてたみたいです。

押部氏 : とはいっても行政の体制も色々と変わってきていて、難しくなってくるかもね。

世界的なサーファーを育てる展望は

R : 少し話は変わって、押部さん自身にその意識があったのか分かりませんが、“角野友基”という世界的なスノーボーダーがキングスで成長していきました。
同じようにコウベレイーズから世界的なサーファーを育てるといったお考えはありますか?

押部氏 : 全くない(笑)

R : 角野友基に関してはどうなんでしょう。意図的に育てたんですか?

押部氏 : 友基に関しては勝手に成長したから知らん!(笑)
友基のことをうちのライダーにしたのも行儀が悪かったからで、上手くなっていって生意気になっていって、ライダーでもないお客さんに対して『ちゃんとせえよ。』とか言えんやろ?
だからライダーにしたっていうのはあるな。でも友基は俺のこと大っ嫌い思ってるよ(笑) 怒られてばっかりやから。
それはまたそういうのが好きな圭司(岡本圭司 : 角野友基が師と仰ぐライダー)がやってるからいいんじゃないかな。
あと、うちのグループでいえば富山キングスがその役目を一応やっているからね。
各地ごとに色分けをしてるんよ、キングスに関しては。

IMGP62252015年10月に発生した台風によって初代神戸キングスは閉鎖したため、コウベレイーズの横に2代目神戸キングスが設営されている

R : キングスの色分けについて、少し詳しく教えて頂いてもいいですか?

押部氏 : まあ千葉はオールマイティなイメージでパブリックにお客さんの層を広く広くって感じ。

R : 都心から最もアクセスしやすいのが千葉ですもんね。

押部氏 : そうそう。
富山に関しては環境が良すぎるんだけど、街からも遠いから合宿所みたいな形にしようかなと思ってる。
キャンプだったり、多くの人たちが育っていく環境にしたい。
福岡は、九州っていう雪の全く降らない立地でもあるから、スキーやスノーボードを始めたい人とか全てを拾っていくような感じで考えてる。

R : 発祥の神戸はどのような位置づけですか?

押部氏 : 神戸に関しては、ふざけた施設(笑)
新しいことをどんどん実験していって、上手くいったことがあれば他の施設に広めていくような感じかなあ。

R : 大阪に関してはどうですか?

押部氏 : まあ。。。
そんなに明確なコンセプトは決めてないんだけどね。
大阪は圭司がやってるから、好きにやれば?って感じだね。
関西で上手くなりたかったら大阪がオススメ(笑)

R : 韓国はどうでしょう。

押部氏 : 韓国はねえ。。初めて神戸にキングスを立ち上げた時と同じような感じで、神戸キングスを立ち上げた当時は他になかったものだから『あれって練習になるの?』とか『スノーボードでオフトレとかどうなの?』っていう時代で、オフトレ自体がダサいっていう感じだった。
それを練習になるってことを実証していく過程で圭司やアキ(平岡暁史 : 千葉キングス代表)が練習しに来たりして段々と成り立っていったんだけど、韓国は今そんな段階かな。

R : 少し前にスロバキアとかで訴訟問題とかになってたと思うんですけど、韓国にはなぜ出せたんですか?

押部氏 : 韓国に関してはこっちが提示した契約を全て受け入れてくれて、契約までスムーズにいけたからやね。
スクリーンショット 2016-08-28 21.05.37インタビューを快く受けて下さった押部氏。鋭い眼光の中に溢れる人間味を感じた

施設の在り方、ビジネスの秘訣

R : サーフィンの話に戻しますが、コウベレイーズを通して業界にインパクトを与えたいなどありますか?

押部氏 : ないッ(笑)

R : 初心者の層を底上げしたいとかもないですか?

押部氏 : ないね。
スキー・スノーボードに関してもそうなんだけど、そもそもの考え方が違くて、
“スノーボード業界やサーフィン業界があってその中で一緒にやって底辺から押し上げて。”
とかではなくて、俺たちは全く違う出発点から始まってるからね。
キングスを作った時、スノーボード業界に全く知り合いがいなかった。
360°回れないくらいのサンデースキーヤーだったし、その時サラリーマンだったから山でリスクの高い練習もできないでしょ。
でもジャンプの練習がしたかったから、キングスを作った。
それでこんな感じでやりたい奴が他にもいるんじゃね?的な感じから始めてるんよ。
だから業界のことはあまりよく知りません(笑)

R : なるほど。では、逆にキングスがここまで展開できた要因はなんだとお考えですか?

押部氏 : 施設を始めるにあたって、業界の中の人がやっちゃうと失敗する。
よく言いたがるでしょ。
《元全日本〇〇1位がインストラクターやってます!》とか《USチームや有名なクルーがこんな凄いことやってます!》とかね。
あれやったら、初心者の人が行き辛いしかないもん。
業界に長くいると麻痺してきて、一般人のやってみたいと思う人の気持ちが分からなくなってしまう。
必ず初心者の目線を忘れないこと。
でも俺らだって麻痺しちゃうんだよね。ずーっと業界にいるとね。

R : 僕の個人的な目線かもしれないですけど、キングスといったら日本のトッププロを囲っている印象なんですが。

押部氏 : それ本当に嫌なんよ。
アキとかも嫌だと思ってて、千葉とかもファンな施設にしたいと思ってるからね。

R : 大前提として初心者が来やすいというのがコンセプトなんですね。
コウベレイーズやキングスで常に音楽が流れているのも、雰囲気を柔らかくするために考慮されていたりします?

押部氏 : まあそこまで深く考えてはいないけどね(笑)
でも音楽に関してコウベレイーズではこだわりがあって、スパニッシュ・サルサ・ジャズしか流さないことにしてる。
キングスとかで流れてるガチャガチャした音楽とかあんまり好きじゃないね(笑)

R : 千葉は四打ち系のノリノリな音楽かかってましたよ。

押部氏 : うるさいあっれ(笑)

R : (笑)
雰囲気作りに関しては任せてる感じなんですね。

押部氏 : たまに視察とかにいって、『うるっさいなあ』とかは言うけどね(笑)

施設に対してのこだわり

IMGP6230新しい試みの一つ。湾曲したアプローチ。
R : やっぱりキングスのジャンプ台とかにこだわりはあるんですか?

押部氏 : もちろんもちろん。
俺らは感覚じゃなくて、設計図から作り上げてるから他とは全然違う。
そのキッカーだけで上手くなるようではダメで、山に行ったりどんな状況でも役立つキッカーじゃないとね。
ただ単に浮遊感を出すだけじゃなくて、キッカーのアール1つ取っても、どのタイミングでGを持たせるのかとか色々あるのよ。

R : もっと詳しく知りたいですね(笑)

押部氏 : (笑)

R : その設計理論は最初から持っていた訳ではなくて、運営していきながらブラッシュアップしていったんですか?

押部氏 : そうだね。

R : コウベレイーズに関しても同じように、波の作り方や割り方など理論を確立させていく予定ですか?

押部氏 : これから徐々にかな。
サーフィンに関して棚がどうとか、本とかにもなっているけど結構間違っていることも多くて、全てぼんやり。
コウベレイーズをやる時にプロサーファーを監修として入れようか。なんて話も少し出てたんだけど、結局全て断った。
役に立たへんから(笑)
こんなのが良い波だ。とか言えても、じゃあ機械的にどうすれば良いとかの意見は出てこないでしょ?改造するにも費用も考慮しなくちゃならないし。「良い」「悪い」だけじゃあね。

R : 業界からの見られ方とかって意識しますか?

押部氏 : 全く気にしない。
こんなのサーフィンじゃねえよ。って言われたとしても、じゃあサーフィンじゃなくて良いやって。
実際に楽しいかどうかを決めるのってユーザーだからね。
だって楽しみたいだけやのに、よく聞くカルチャーとか歴史って知らないとあかんかな?って。
楽しいからやる。でええやろ?

R : シンプルに楽しめる場を提供しているという。

押部氏 : そうそう。
だって、サーフィンって楽しいからやってるでしょ?
スノボーも楽しいからやってるでしょ?

R : はい。

押部氏 : ええやんそれで(笑)

R : はい(笑)

最後に

R : 理念みたいなものってありますか?

押部氏 : そんな立派なものはないけど、しいて言うなら“遊びをクリエイトする”かな。

R : 全てはその延長線上にしかないですもんね。

押部氏 : ほんまにそう。申し訳ないくらい他になんもない(笑)

R : それでは最後に、コウベレイーズに来てほしいと思う方々に何かメッセージがあれば。

押部氏 : 俺らは技術屋やから、“大きな波を出す”というところにはこだわりを持っていて、追求していこうと思ってるけど、これからサーフィンを始めたいって人たちにたくさん来てほしいかな。
ここで初体験をして下さいって本当にそれだけやね。

R : 本日は長時間ありがとうございました。

押部氏 : ありがとう。
この後、波乗ってく?乗りたそうな顔してるやん(笑)

R : ぜひお願いします!

 

コウベレイーズで波体験

このあと実際に、ご厚意で波を体験させて頂いた。
筆者自身、サーフィン超初心者なのだが、とても楽しく安心してサーフィンすることができた。
というのも、巨大な波が襲ってくるという恐怖感も一切なければ、足が底に着かずに溺れる心配もない。

安全だと感じる一方で、見た目以上に波に力があり、サーフボードの上に立つことができなくてもパドルをしているだけで十分に楽しむことができる。

“波に押される感覚”

サーフィンで味わう始めての喜びを体験できる施設なので、サーフィンに興味のある方は是非とも一度体験してみて欲しい。

IMGP6217インストラクターが共に入水するため、安心して楽しめた

このインタビュー記事作成中の8月26日に押部氏のFacebookアカウントより、リニューアル工事を目的とした休業に入るという発表があった。
再オープンは来季の4月を予定しているとのこと。
約7ヶ月間という時間で、技術者の誇りにかけて大きな波をこだわりの方法で発生させてくれることだろう。

押部氏自身、業界へのインパクトやボトムアップに関しては興味がないということだったが、興味を持たずして影響力を持ってしまう。
押部 宣広とはそういう男なのではないだろうかとインタビューを通して筆者は感じた。

10年後、20年後に世界で活躍する日本人サーファーのスポンサー欄には“KOBE-REYES”の文字が記されているに違いない。

施設情報

KOBE-REYES(コウベレイーズ)

-場所: Kobe天空リゾート みのたにグリーンスポーツホテル敷地内
-住所: 神戸市北区山田町原野1-1
-TEL:078-595-7081
-公式WEB: http://www.kobe-reyes.com/

KOBE-KINGS(神戸キングス)

-場所: Kobe天空リゾート みのたにグリーンスポーツホテル敷地内
-住所: 神戸市北区山田町原野1-1
-TEL:078-595-7162
-公式WEB: http://www.kobe-kings.com/

FUKUOKA-KINGS(福岡キングス)

-住所: 福岡県飯塚市内住2066
-TEL:0948-72-0319
-公式WEB: http://www.fukuoka-kings.com

OSAKA-KINGS(大阪キングス)

-住所: 京都府京田辺市天王中別所76‐1
-TEL:0774-65-0525
-公式WEB: http://osaka-kings.com/

CHIBA-KINGS(千葉キングス)

-住所: 千葉県市原市中高根1339-20
-TEL:0436-50-3088
-公式WEB: http://www.chibakings.com/

TOYAMA-KINGS(富山キングス)

-住所: 富山県中新川郡立山町芦峅寺31
-TEL:076-482-1130
-公式WEB: http://www.toyamakings.com/

 

この記事の著者

ヤノ タカミ

ヤノ タカミ

R/ForA magazine 編集長
横乗り3Sの業界活性化が地方の経済活性化に繋がり、社会を色々な面で豊かにすると信じて疑っていません。
skateboard,snowboardを嗜む程度にやります。

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