ホットワックスについて、もっと知りたくて仙台にあるガリウム本社に行ってきた

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“最近のスノーボーダーはあまりホットワックスをしない。”
こんなことを最近よく耳にするようになった。

確かに簡易的なスプレーワックスでも事足りるかもしれないが、自分の板を持っているならソールを長持ちさせるために、ホットワックスの知識を持った上でのワクシングが必要不可欠だ。
そう、スノーボードウェアをお手入れするように、ソールも定期的なお手入れが必要なのだ。

ホットワックスに対する豊富な知識と圧倒的な商品力を誇る”GALLIUM(以下 : ガリウム)”にホットワックスについて取材させて欲しいと連絡を入れたのは、9月の中旬だっただろうか。
二つ返事で、『是非いらして下さい。』
と快諾して頂いた。
今回は、ガリウムの本社がある仙台に東京から向かった小旅行を時系列で追っていけたらと思う。
途中、営業部長の佐藤さんに伺ったインタビューも掲載しているので是非読んで頂きたい。

東京から仙台へ

11:30

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普段の生活で新幹線にあまり乗らない筆者はこの時、心が大きく高鳴っていた。

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人生初の東北新幹線。
事前に新幹線のチケットを買っていなかったため、みどりの窓口で自由席チケットを購入。

12:00

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やまびこで仙台に向けて出発。
“はやぶさ”の方が停車する駅も少なく、断然早いらしいがその情報を知らなかった。。。。
帰りの新幹線は、はやぶさに乗りたいと思ったのは自然な流れだった。

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人生で3度目の新幹線では、こんなにも速いものかと驚愕した。
車を運転する自分を思い出すと少しバカらしくなってしまう程の速さだった。
野を越え山を越え。

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そうこうしているうちに仙台に到着。
車内販売で飲み物すら買うのを忘れるくらい新幹線という乗り物を満喫してしまった。

14:00

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仙台駅から更に地下鉄を利用して、泉中央駅まで移動。
駅に到着した時点で14:40くらいだっただろうか、14:00〜15:00くらいを目処に伺います。と伝えたことが嘘になりつつあったので、1本電話を入れることに。

元々この駅からバスで向おうかと思っていたが、タクシーの方が正確だし早いということガリウムの社員の方に教えてもらい、タクシーで向かうことに。

15:30

“住所的にはここら辺なんですがねえ。”
とタクシーから降ろされた場所がここ。

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ガリウムさん見当たらねえぞ。と思いながら少し歩くと。

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あった。あった。

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事務所を出てから約4時間程度で着いてしまったことに、改めて信じられなかったが無事に到着。

遅刻してしまったにもかかわらず、笑顔で出迎えてくれた佐藤さん。
案内されたロッジで待っていると、アイスコーヒーがやってきた。

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乾いた喉にコーヒーが沁みる。
『お待たせしましたー。遠方のところありがとうございます。』
と佐藤さん。

ホットワックスについて、より知る為のインタビューが始まった。

インタビュー開始

R/ForA magazine(以下 : R) : まずお聞きしたいのが、ワックスを製造している会社やブランドは他にもたくさんあるかと思いますが、ガリウムさんが“ここの部分だったら負けないよ。”というものはありますか?

佐藤さん : 負けないよという部分ではないんですけど、うちの最大の特徴はなんといっても“ガリウム”を配合している点です。
これを配合することによって、高い撥水性や擦れた時の摩擦で発生する静電気が起きにくくなったりします。
また、ガリウムは滑走面に凄く馴染んでくれるためワックスが長持ちするのです。
これがガリウムワックスの1番の特徴ですね。

R : なるほど。ということはやっぱり社名とリンクしているんですか?

佐藤さん : そうです。そうです。
あと他で弊社の強みといえば、実際にスキーやスノーボードの板にワクシングをして行ったテストの回数は多いと思います。
特に日本のメーカーなので、朝は冷えた良い雪なのに昼になったら溶け出してしまうという雪質の変化が大きい日本で、“ワクシングしたのに昼になったら板が走らない!”なんてことにならないように、広い雪温、雪質に対応したワックスを製造できています。

R : 日本だと、同じ1日でもそんなに雪質は変わるものですか?

佐藤さん : ヨーロッパなどは、寒い日は1日中寒いですし、暖かい日は暖かいですよね。
そんなに太陽も高く登らないので、その分雪質の変化は少なくなります。

R : 日本の雪質って厄介なんですね。
あと、ガリウムさんがサポートしている選手が実際にレースや練習などで使用してみてフィードバックをもらったりなどもありますか?

佐藤さん : レースバーンでのデータになってしまいますが、データ収集はしています。
また、自分でも直接滑りに行ってテストしていて、違う社員も同じようにテストしに出かけ、皆で協力してデータ収集を行っています。
エリアによっても雪質が全然違うので、冬の時期になれば土日を使って色々な山に滑りに行くんです。

imgp6920筆者が通された、オシャレな木製のロッジでは講習会などが行われるようだ。

ホットワックスと生塗り(スプレーワックス)の違いとは

R : 初心者の方で、ホットワックスをかける意味合いを理解している人って少ないと思うんですが、ホットワックスの良い部分ってどういうところなんでしょう。
あと、生塗りよりもホットワックスの方が良いというわけではないんでしょうか?

佐藤さん : ホットワックスが上級者のやり方で、生塗りが初心者のやり方というわけでは決してないです。
というのも、生塗りとはこれから滑る雪に適したワックスの膜を作る技法のことを指します。

そして、ガリウムが商品として扱っているワックスの全てが生塗りできますし、板の滑走面に擦り付けてコルクで磨いてあげれば、それは生塗りになります。
実際に弊社のラインで、14,000円近くするGIGA SPEED Maxfluorはホットワクシングのように熱をかけることができません。

それに対して熱を入れてソールの主な素材として使われているポリエチレンにワックス染み込こませ、滑走面をより滑る状態にするのがホットワックス。
滑り込む人には是非ホットワックスをして欲しいんですが、悪い点もあって、
“時間がかかる・場所が必要・道具も必要・技術も必要”と結構大変ですよね。
ただワックスを溶かして滑走面に塗るだけでは意味がなくて、しっかりと熱でソールを温めながらワックスを染み込ませることが必要になります。

話が脱線してしまいましたが、生塗りとホットワックスは、作業工程の違いであって、良い悪いではないんです。

R : なるほど。
生塗りという表現ですが、スプレーワックスも生塗りという認識で間違いないですか?

佐藤さん : おっしゃる通りで、スプレーワックスも生塗りになります。

R : ここまでのお話を聞いていると、生塗りとホットワックスどちらでも良いのかなと思ってしまったのですが。
シーズンの始まりにピンクワックス10回、バイオレットワックス10回、ブルーワックス10回やっている人が可哀想に思えてしまいます(笑)

佐藤さん : そうですね(笑)
ただ、生塗りですとスキー場に行ってから場所を選ばず、スピーディに塗ることができますが、ソールの表面にしかワックスが付かないので、長持ちはしません。
それに対してホットワックスをかけていると長い時間、滑走性能を最大限に引き出してくれます。
あと10回10回10回の工程は、あくまで滑走ワックス(フッ素入り)を塗るためのベース作りだと思って下さい。
滑走ワックスをソールの上に結合させるためだとイメージしてもらえると良いかもしれないです。
パラフィン(ベースワックスのこと)はソールの中にホットワクシングをすることで入っていきますが、フッ素は入っていかないためなんです。

R : 滑走ワックスはベースワックスに比べてしまうと高価なので、手が出しづらい部分もあると思うのですが、滑走ワックスを入れる大きなメリットってなんなのでしょう。

佐藤さん : 滑走ワックスというくらいですので、フッ素が入ることで撥水性が上がり、より滑りやすくなることは言うまでもありませんが、雪の中に含まれている油分などを弾いてくれるため、汚れが付きにくくなるという効果もあります。

R : なるほど。一般の方でも滑走ワックスまで入れることで享受できるメリットは大きそうですね。

佐藤さん : もちろんです。
かつ、滑走ワックスのHF(フッ素高含有)シリーズで、うちは価格を安く設定している方だと思います。
他社さんの場合、HFのものになると9,000円くらいするものもあり、あまり店頭に並ばないんですよね。

R : ベースワックスと比べてしまうと高いですが、佐藤さんに習って今年から滑走ワックスを取り入れてみようと思います!
本日はホットワックスの知識が深めることができる良い機会を作って頂き、ありがとうございました!

佐藤さん : こちらこそありがとうございます。
これからも宜しくお願いします。

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帰路

19:00

インタビューの後、間髪入れずにホットワックスの一連の作業工程を実演して頂き、気がつくと外はもう真っ暗で東京では未だ味わえない肌寒さを感じた。
佐藤さんが親切にタクシーを呼んで下さり、また訪れることを約束しガリウム本社を後にした。

19:30

タクシーの運転手さんと、新幹線トークで盛り上がっているとアッという間に泉中央駅に到着。
つい数時間前に初めて訪れたとは思えないほどのホーム感を感じながら、仙台駅へ。

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“仙台に来たのだから、牛タンを絶対に食す。”
と意気込んでいたものの、牛タン駅弁はほとんど完売状態で仕方なくナポリタンを食べることに。
なぜナポリタンを選択したのかは今になっても謎のままだ。

21:00

おみやげ購入を一通り済ませ、東京へ行ける最終新幹線を待つ。
指定席は取れなかったため、30分前からホームに立つ。
圧倒的先頭。

新幹線を待ちながら、濃い1日を思い返した。
11月のスケジュールに“ホットワクシング”と追加したことは読者の皆様も想像するに容易いことだろう。

なんてことを考えていると、ファーンという爽快な汽笛を鳴らしながら、ホームに“やまびこ”が入ってくるのが見えた。

はやぶさに乗りたい。と行きの新幹線内で考えていたことは充実した1日を過ごせたことで、とうに忘れてしまっていた。

 
 

取材協力会社

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社名 : 株式会社ガリウム
設立 : 平成6年8月23日
本社・工場 : 宮城県仙台市泉区根白石字下町6-5
主要取扱商品 : スキー・スノーボード用ガリウムワックス
事業内容 : スキー用ワックス製造・販売業、スポーツ用品販売業、日用品雑貨販売業

 

この記事の著者

ヤノ タカミ

ヤノ タカミ

R/ForA magazine 編集長
横乗り3Sの業界活性化が地方の経済活性化に繋がり、社会を色々な面で豊かにすると信じて疑っていません。
skateboard,snowboardを嗜む程度にやります。

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